いきなりですが相原&竹熊コンビの名作『サルまん』のお話。
後半、大ヒットを飛ばしたにもかかわらず、行きすぎて電波発信マンガになってしまった『とんち番町』が打ち切られることになります。で、その後出版社からも見放された二人は『とんち番町2』をひょっとこ電子から創刊された新しいマンガ雑誌で連載するのですが、それはすぐ休刊に。その時、「しまった、マンガの続編は流行らないことを忘れてた」という旨の言葉を残します。
しかしながら、現実のマンガを見てみると一応続編みたいなものでヒットしているものというのはけっこうあるのですよね。ただ、それを分析するとゲームなどのような続編ではなく、いろいろなパターンがあることに気付きます。今日はそれをちょっと考えてみましょう。
一度終了→新規連載パターン
おそらく「続編」のイメージで一番浮かびやすいもの。一度前作が終了したにもかかわらずその続きが作られるというものですね。たしかに10年前まではこのパターンのヒット作は少なかった気がします。思い出すとしたら、ジャンプで打ち切り後、ヤングジャンプで続きが最後まで描かれた『東大一直線』→『東大快進撃』の流れでしょうか。
ただし近年、このパターンは増えていて、それなりに続いているケースが多いです。特に『エンジェル・ハート』(公式には別物らしいですが、事実上)、『ゴッドサイダーセカンド』等、コミックバンチ系に多かったような。
一区切りパターン
そして、連載は事実上終わっていないのに、何故か新しいタイトルになってスタートしたものもあります。例えば『新コータローまかりとおる!』(あとLも)や、『エリートヤンキー三郎 第2部:風雲野望編』、それにカイジシリーズもそうですね。これらは「気分問題」「目新しさをもう一度出す」ということもあるでしょうが、営業的にいろいろな都合もあったりするようです。
実は、巻数が多く続くとデメリットが出てきます。それは、「新規参入読者の障壁となる」、「本屋の棚に全巻揃わなくなる」等。単行本は多くの場合1巻から読みますが、既刊が数巻なら読む気になっても、20巻とか30巻とかになるとだんだん読む気が失せてきます。『こち亀』や『浮浪雲』、『美味しんぼ』のような事実上1話完結型なら途中からでもだいたい把握できるのでよいですが、そうではないものは途中から読んでもよくわからず、結果として新しい読者は入って来にくくなる可能性があります。
さらに本屋の棚も売れるかどうかわからないのに場所だけを食うそれらを置いてはおけないので、削られ、余計新規に読む読者が減る可能性があります。故に、現在連載中のマンガでも、既刊がコンビニコミックとして並ぶことがあるというわけ。
そこで「新シリーズ」として1巻からにすれば、新規読者はそこから入れるし、本屋も新シリーズの1巻から置いてくれる可能性は高くなります。そして既存のファンも実質同じものなのでついてきてくれると。
欠点は、過去シリーズとの関連性を一度薄くしないといけない点でしょうか。
ちなみに『ジョジョの奇妙な冒険』も、6部の表題は『ストーンオーシャン』で一応別タイトルになっていますし、最初の単行本でも1巻スタートでした(文庫版は最初からジョジョ6部となっている)。『スティール・ボール・ラン』も、最初は表題だけでジョジョの名前はありませんでしたが、後からジョジョの奇妙な冒険の7部と名実共になりました。まあどちらもジョジョファンは6部、7部と見ていましたが。
雑誌社異動パターン
昔、角川お家騒動というのがありまして、その際出来たのが最近休刊となった『電撃コミックGAO!』なのですが、そこではかつて『コミックコンプ』で連載していたものが大量に移籍しました。中にはそのままのタイトルのものもありましたが、『ローンナイト2』(吉富昭仁)のように変更したものもあります。
最近でもお家騒動でそうなったもの(『AQUA』→『ARIA』、『魔探偵ロキ』→『魔探偵ロキRAGNAROK 』など)、個人移籍でそうなったもの(『ジンキ・エクステンド』 →『JINKI-真説-』など)がありますね。
まあ、そのままだと抵抗のある場合、仕切り直しの意味でと理由はいろいろあるでしょうが、最近は移籍してもそのまま、というケースもわりとありますね。
まとめ
このように、続編と言ってもいろいろなパターンがあるわけで。ただし多くの場合は内容は同じで、一度完結したもので『北斗の拳』に対しての『蒼天の拳』のような外伝的なものではなく続編となると、ヒットするのはやはり難しいのかなと。
もっとも、同じタイトルでも作品内でいきなり展開ががらりと変わって別物になるケースも多いので(いわゆるテコ入れとか)、マンガにおいては続編とかで区切るのはあまり意味のないことかもしれないと思ったりします。
コメント
この流れでいくと「ブラックエンジェル」・「マーダーライセンス牙」・「外道坊」もありですか?
>ポメキチさん
こんにちは。
そのパターンもありましたね。
あと、ハレルヤ→BOY何てのも一応そうかも。