まんがタイムきららで『けいおん!』の大学生編がスタートしたのがネットなどでよく話題になっています。ですが私としてはもうひとつ注目したいのが、その前の号から始まったざらさんの『しかくいシカク』。
このブログや自分の運営する他のブログでは、同じくきららで最近まで連載してたざらさんの『ふおんコネクト』についてよく扱っていた通り、萌え系と言われる4コママンガの中ではわりと異色の細かい絵で描かれているストレート&ギミック的なギャグや細部のパロディー、そして時に現れる風刺などが読み応えがあり、4コマの中でも好きな作品のひとつでした。
■参考:

というわけで、新連載のほうにも期待しているのですが、最近まで『ふおんコネクト!』とは別に、アフタヌーンgood!のほうで連載がされていた作品が単行本になりました。それは『ウチはおおきい』。
この作品は前述の通りgood!アフタヌーンで連載されていた4コママンガで、舞台は洋館を改造したとあるアパート。管理人は女子高生のカナエ。そしてほかにもお嬢様女子大生やDカップ英才美女などが住んでいます……と書くと、もしかしたらひだまりスケッチのようなほのぼのとした感じを連想する人ももしかしたらいるかもしれませんが、違います(まあ見方によってはそうとも言えるかもしれなけど)。じゃあギャグ的なものである、個性の強すぎる住人に振り回されるパターン(『まほらば』、古くは『めぞん一刻』とか)といえば、そっちに近いです。しかしそこは全員一筋縄ではいきません。
メインはさっき書いた3人の女性ですが、管理人且つ高校生のカナエは、希望して入った高校が経営難で閉鎖してしまい、救済処置で今の高校に編入してきたためにやる気を失って不登校ニートになりかけ。
入居者のお嬢様女子高生メイは、たしかに家は大金持ちなのですが、根底からニート気質で生活費を浮かすために(部屋と学費以外の費用はあまりのニートっぷりに止められた)、親から与えられていた高級マンションを売って安いこのアパートに引っ越し、その差額で生活しようとする大学留年生という一癖も二癖もある存在。ちなみに当然留年。
唯一まともと言えるのがリョウ(痩せ形巨乳メガネ)なのですが、この人、かなり不運です。というのは大学を首席で卒業して一流会社に入るほどの英才で、且つメイとは全く逆に活動意欲もあるのに(メイには「ニートの素質の無い人」と言われる)、昨今の不景気の煽りを受けて失業してしまい、一度出た家賃の安いアパートに戻ってこざるを得なかったという感じ。しかもその後もその有能さなのに仕事が決まらず、派遣やバイトを転々とするという。
このように将来に悲観的な不登校予備軍、ニートライフを愉しむお嬢様、能力を発揮できない失業業者と、なんだか現代社会のマイナス影響を反映されたようなメンツがおりなすのがこのマンガです(ちなみにアパートにはその他国籍不明の人と老人もいて、高校の同級生にはちみっ娘ゲーマーもいたりするけど、やはりこちらも個性炸裂してます)。
ただ、やはりそこはざらさんのマンガというか『ふおんコネクト』同様キャラは非常にアクティブで、たとえニートライフといえども全力で織りなします。
例えばカナエ。学校をサボるのにもスキルを展開しますが、ここでのギミックが能力の無駄遣い。
そして最強はメイで、ニートをするためならどんな苦労も惜しまないという本末転倒さが非常に良い感じです。まあ本人はそれを楽しんでいる感じですが。
で、やはりそうなると振り回され役&ツッコミ役は常識人に回ってくるわけですな。ちなみにその能力故に同窓の女のコ(女社長)に憧れられて、というかむしろ百合風に執着されている辺りも受難?だったり。
『ふおんコネクト!』に比べると、直接的なパロディは少なめですが(それでも先の画像のようにそれなりにありますが)、それを超す風刺やギミックがこんもりと描かれており、キャラの行動同様そこも魅力のひとつとなっています。
あと、下の画像にはどっかで見た人が(犯罪者になってるけど)。
というわけで、『ふおんコネクト!』が好きだった方は読まれることをオススメ。読んだことが無い人も、全一巻の4コマですので、気軽に楽しく読めると思います。
ちなみにこれでひとまず完結らしいですが、続きも読みたいなあ。