更新していない間はほとんど仕事漬けでしたが、マンガだけは合間を縫って色々読んでました。その時に一番読んでいたのが、4コママンガ雑誌系のもの。ただ、このブログでも前から語ってきたような『まんがタイムきらら』系のいわゆる「萌え系4コマ」だけではなくて、『まんがタイム』『マンガライフ』『まんがくらぶ』系列の雑誌でした。
何でかというと、去年の末くらいから、こっちの系統のマンガを開拓し始めてしたからなのですね。あと、仕事が忙しいときはコンビニくらいしか出かけられなかったので(仕事時間が諸般の都合で深夜~朝方なので)、そこに置いてあるというのも都合が良かったので。でAmazonやたまに行けた本屋などで、その系統の4コマ単行本も買いあさりました。
で、この4コマ読みあさりの波は去年くらいから始まったのですが、きっかけとなった本があります。それが『らいか・デイズ』。
実はだいぶ前にもこのマンガ、読んだことがあったのですね。ただし1巻だけ。その時は「普通の4コマだなあ」と思っていたのですが、ふと思い立って2~3巻を購入して購読。すると一気にハマり、当時発売されていたものを全部購入しました。正直、1巻しか読んでいなかったそれまでの期間が勿体なかったなあとも思いました。で、ネットで調べてみると同じようなハマリ方をした人は多いようで。というわけで、その例に漏れず、今回はこの作品にどのような魅力があるか書いてゆきたいと思います。
らいかというキャラクター
まず『らいか・デイズ』の基礎知識。これは『まんがホーム』『まんがタイムオリジナル』で連載されている4コママンガ。司法試験問題も出来るくらい天才小学6年生だけど、料理や裁縫が苦手だったりする来華やその周りの人達と展開する、スクール&ホームコメディ的な物語なのですが、それだけではなかなか言い尽くせない魅力があります。
まず、登場人物から。主人公の来華は一見どんな勉強でもこなす上司法試験の問題を解けるほとの頭脳を森、その上生徒会長としての業務をこなし、先生に学校の仕事を頼まれまくったりしています。そしてそれを裏切らないように、らいかもてきぱきと仕事をこなします。そんな来華は、クラスどころかほかの生徒や先生、はては街の人にまでも注目される存在になっています。
しかし家では年齢相応いや、それよりも子供っぽい行動をしています(ちなみに家はなんだか昭和のようなほのぼの家庭)。またらいかは実は家事や裁縫は苦手で、その外(学校)での天才な、大人っぽいならいかと家での不器用で、体格はかなり小さく、身長が(そして胸も)6年生とは思われないくらいだったりするのと気にしていたりするあたり子供っぽいというギャップがかわいらしいところでもあります。
竹田との恋愛未満の関係
そんな外では天才ともてはやされる来華ですが、それを認めないのが、クラスの秀才である男の子の竹田。そしてテストの点でいつも100点な来華に少しの差で負け、そのためにつっかかってきます。しかし、それがだんだんと気になる気持ち→好意に変わってゆくという、ある意味子供のお約束的パターンになります。そして来華のほうも、自分を天才として特別扱いしない竹田に対し、淡い好意をもってゆくことになります。だけど優等生故、恋愛関係の事は非常に苦手。ただ、いろいろなことはこの二人に対して起こるのですが、その反応がかない初々しくて微笑ましいのですよね。
この二人の淡い恋愛未満模様にこの作品一番の魅力を感じている人も多いのではないでしょうか。
ちなみに竹田は、単身赴任の父親に代わり料理を作り、家事スキルは小学生とは思えないものになっています。それ故に家事の出来ない来華との対比になり、この二人のかけあいが恋愛以外にもいろいろ微笑ましい行為を生み出しています。
その他の登場人物の魅力
その他の登場人物も、魅力に溢れている人が多いです。
まず来華の友人達。特に転校生の優等生蒔奈は、今まで天才ということでわずかながら浮いていた立場の来華が実はその優秀さとは裏腹に子供っぽいところが多いというのを見抜いて、対等な立場で語りかける存在となります。ただ、この蒔奈も落ち着いているお嬢様のようで、やっぱり子供であり、けっこう乱れて(特に後述の紺太先生がらみでは「恋する乙女は最強」的に)ギャグになることも多いです。
そして特に目立つのは、代理教師としてやってきた隣のクラスの先生、財津紺太なのですが、見た目かなりいい加減なように見える彼は生徒のことをよく見ており、来華のことを天才とわかっていても、特別扱いせず、普通の子供の一人として扱います。さらにほかの子供達に関してかなり適切な行動をとり、過去、蒔奈が別の学校で孤立していた時に教育実習生としていた彼は、蒔奈を救うことになります。その結果、蒔奈に好意を寄せられるのですが、大人の対応でちゃんとしているあたりがなかなか好感が持てる感じ。読者から見ても「尊敬できる大人」なのですよね。
サザエさん時空でのキャラクター、及びその関係の変化
さてこの作品、4コママンガに多い「サザエさん時空」で展開されています。しかし、この中で各キャラクターは確実に変化しています。例えば担任の先生は最初は独身恋人ナシを気にする女性でしたが、そのうち結婚、そして子供も誕生します(だからどっちかというと「コボちゃん時空」なのかもしれない)。そして各キャラクターの性格、そして関係性なども、このサザエさん時空の中で確実に変化しており、それが魅力の一つとなっているのです。
まず、主役のらいかは初期こそは「天才、だけど家では不器用な普通の女の子」という感じでしたが、最近ではどちらかというと「不器用だけと頭のよい女の子」と、普通な側面が強調されるようになってきており、それにあわせて来華に対する友人達の態度も以前よりもかなり親密な感じになっているように感じます。
それに、来華の小学6年くらいである身体(初潮や下着などについての話)や心の成長(告白されることなどがアリ)についても正面から描かれていて、しっかりと変化を覚えます。
あと、先述の来華と竹田の恋愛模様ですが、最近の話だとなんだか友達以上恋人未満を通り越して、熟年夫婦化しているようにも感じたり。
■参考:クリスマスの様子から見る、時間の流れるサザエさん時空の世界 – たまごまごごはん
ギャグとシリアスの絶妙なバランス
基本的にはギャグの明るい世界で展開させる『らいか・デイズ』ですが、時にシリアスなものが混じることがあります。というのは、キャラクターの中には憂いの要因を持っている人がわりといるのですよね。例えば竹田は父親が単身赴任で寂しい想いをしていたり、さらに蒔奈は両親とも海外で働いているためあまり会えないなど。またらいかの両親もこの幸せな家庭を築くまでは、いろいろな苦労をしてきた様子が描写されることがあります。
特に来華の母親は、来華に対してはしっかりとしたお母さんですが、中学生の時に両親を亡くして、兄に育てられたり、その後不妊治療の末に来華を生んだことなど、かなりシリアスな話もあります。
ただ、これらはたしかに描かれていて、そして読み手にインパクトを残すのですが、それで作品全体を暗くすることなく、しかし埋もれるわけではなく、ギャグとのバランスがとれているのですよね。それは、その暗さの要因を解決する別のキャラクター(例えば母親の場合は父親やらいか)が必ずと言っていいほど存在することもあるでしょう。
ちなみに、作者のむんこさんの作品はほかにも『まい・ほーむ』や『だって愛してる』などがありますが、こちらではより深くギャグと同時にシリアスな話が(主に過去の話として)展開されています。それはまた別のエントリーで詳しく書いてみようと思います。
そんなわけで色々書いて来ましたが、まだ他のキャラクターのことなどいろいろあり、書ききれません。なので興味を持たれた方は実際に読んでみてください(丁度先月、最新の10巻が発売されました)。学園生活、ほのかな恋愛、ギャグ等々……何か魅力が見つかると思います。