二次創作の壁を超えた『にょろーん ちゅるやさん』という存在

マンガ感想
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ちゅるやさんの単行本限定版、『にょろーん ちゅるやさん めがっさ限定版』が発売されました。

にょろーん ちゅるやさん めがっさ限定版
にょろーん ちゅるやさん めがっさ限定版

 

既に有名なのでご存じの方も多いでしょうが、『にょろーん ちゅるやさん』はもともとライトノベルやアニメなどで人気の出ている『涼宮ハルヒの憂鬱』に出てくるキャラ、鶴屋さんをディフォルメ化したキャラ達が活躍(?)するコミカルシュールな4コマです。そしてもともと雑誌連載ではなく、作者のえれっと氏が自身のホームページで発表したキャライラスト及び4コマがもとになっています。その後まとめた同人誌なども出ました。そして、そのかわいさから人気に火がつき、あちこちに広まり、2ちゃんねるなどでAAにもなりました(ちなみにそのAAネタもマンガにあったりします)。

そこから本来の『涼宮ハルヒの憂鬱』の版権元である角川書店の雑誌で連載を始めることとなり、YouTube放映のアニメにもなって、この単行本に繋がります。

で、私も購入。

本に加えて限定版のミニ冊子と写真には写っていませんがねんどろいど(箱の中に入ってます。ちなみに箱がスモチなのはなかなか。限定版の本には、蒼樹うめさん等がゲストで1ページ書いている同人誌的な感じ。あと同人誌時代のひぐらしネタも収録してあります。

そして本誌のほうはオールカラーで、雑誌連載Sideと、お蔵出しSide(同人誌などで描かれたもの)が両方収録されています(ほんのちょっとだけ変更箇所有り)。あと、『涼宮ハルヒの憂鬱』原作者谷川流さんといとうのいぢさんのコメントもあり。

 

しかし、考えてみればこの単行本ってかなりの変わったものですよね。上で説明しましたが、2次創作がもとなのに、その版権元に連載され、そして単行本が出ると。おそらくこのパターンは史上初ではないでしょうか。

今までも、同人誌から雑誌連載になり単行本やアニメ化になった例はあります。最近では相田裕さんの『GUNSLINGER GIRL』、高野真之さんの『BLOOD ALONE』等がありますしね。ちなみにアニメでも『灰羽連盟や『ガドガード』など同人誌での企画がもとになっているものもあります。

あと、ネット上からも一次創作のWebコミックからでは『ヘタリア』、『おたくの娘さん』などが商業作品となっています。

 

しかし、二次創作から生まれたキャラクターが、このような形で版権元公認で出るというのは、かつてないパターンではないでしょうか。まあ、ちゅるやさんの場合はかなり要素が重なって偶然的なところもあります。例えばえれっとさんのキャラが元からはかなりディフォルメされて別キャラになっていた、キャラが魅力的でネットなどですでに人気が出ていた、角川書店にも一次作品をディフォルメした作品はいくつもあった(『ハルヒちゃん』『犬ガンダム』、古くはロードス島でもあったな)、えれっとさんはもともとラノベイラストなどを描くプロのイラストレータであった、角川書店が二次創作に許容的等々。

これらの条件を満たした結果、このような形になったのかもしれません。しかし、それでも独自の二次創作から始まったものが、このような元の公認系になるというのはけっこう革新的なことであると思うのですよね。だけどその結果、広い範囲で面白さが広がったとするならば、それはよかったのかなと思うのです。

 

今、ネット上ではpixivなど多数の一次創作キャラのとか、このような二次創作からも独自の切り口による作品が生まれています。今までは法的な問題上趣味の範囲内で止まっていたそのような作品の中から、これから先『にょろーん ちゅるやさん』のように広がりを持ってくる作品は出てくるのでしょうか。
様々な要因が絡みあうので難しいでしょうが、出来れば「黙認」から一歩進んで、創作者と版権元、両方が幸せになる仕組みが出来れば、創作に新しい道が開けるかもしれません。

コメント

  1. anyone より:

    >同人誌から雑誌連載になり単行本やアニメ化になった例
    超人ロックとか・・・。

  2. 紙芝居 より:

    同じように2次創作から商業化されたものだと、ぷちます!もそうですね

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