14日から17日はコミケでした。今日はちょいとその関連の話で。
私はまとめて読める単行本の方が好きなので多くのマンガについては単行本初見になるのですが、もちろん雑誌で買っているものもあります。その中でまんがタイムきらら系は抑えているのですが、それにはいくつか理由があります。もちろんそのマンガがおもしろいとか、手軽に読めるといった理由もあります。
■関連:萌え系4コママンガ誌のよいと思う点をいろいろ挙げてみる – 空気を読まずにマンガを読む
だけどもうひとつ、買っている理由というか、きらら系ほか萌え系4コマを読むようになったという理由があります。それは、現在萌え系4コマの作者として活躍している人が、私が同人誌を良く買っていた人や同じジャンルで名前を知っていた人が多いため。
私が同人即売会に参加しだしたのは約10年前、ちょうどPC-98からDOS/V機(Windows機)への移行の時期でした。その当時、PCゲームではエロゲブランドLeafの『雫』『痕』『ToHeart』がブームとなり、続いてTacticsの『ONE~輝く季節へ』、そしてKeyの『Kanon』などで盛り上がった時期でもあります。そしてこの時代は男性向け同人のジャンルにおいても、このLeaf、Key系が爆発的人気となった時期でもありました。毎週のようにキャラごとのオンリー即売会が行われ、コミケでも一時期は3日目東館123の大半がLeaf・Key系で埋まりそうなくらいになったことというのもあります。
ちなみに当時はネットの普及期でもあったたために、こちらのほうでも二次創作ブームが起こっていました。
■参考:Leaf・Keyのゲームがインターネット上で盛り上がりを見せた奇跡的な時代 – 空気を読まない中杜カズサ
そして、この時期にこれらのジャンルで活動を始めたマンガ描きの人というのも大勢存在します。当然ですがそれらの大半は素人でありました。しかしそれから10年近くが過ぎてみると、ここで活動していた人がプロのマンガ家になっているというケースが目立つのですよね。
もちろん同人をプロになる前(そして今も)活動の場としていた人というのは、これら以前、そして他のジャンルでもありました。古くはうたたねひろゆきさんやCLAMPさん、それから時代を進めれば角川書店のファンタジー系雑誌に連載を持っている人たちに多かったですね。しかしそれはどちらかというと、プロの中に同人出身者が混じっているという感じでした(さすがに80年代の同人はよく知らないので、あくまで個人的印象になりますけど)。
しかし、現在の萌え系4コマの連載陣は、こういった同人出身者、もしくはマンガ家や原画家、イラストレーターと平行して同人活動をしていたという、同人にかかわりの強い人が多いのですよね。しかも萌え系4コマがだいたい2000年代前半から出てきたジャンルなので、その当時、もしくはちょっと前から活動していた世代となると、ちょうど私が同人誌をよく買っていた時期と重なると。で、ジャンルはさっき書いたようにLeaf・Key系が盛んだったのでそれの系統。
具体的には『ひだまりスケッチ』の蒼樹うめさん、『ざっちゃん』のくろがねぎんさん、『きつねさんに化かされたい』の桑原ひひひさん、『あにけん』の高野ういさん、『パンなキッス』の華原七海さん、『ちびでびっ!』の寺本薫さん等々非常に大勢(たぶん全員書いたらきりがなくなる)。もしくは同時並行的に人気だったラグナロクオンライン系(『ラジオでGO!』のなぐも。さん等)、またはコミティアなどでオリジナルで活動していた人も多いですね(もっともこっちは4コマより、『ガンスリンガーガール』の相田裕さんとか『BLOOD ALONE』の高野真之さん、『エマ』の森薫さんなどストーリーものの連載が多いような)。
で、そういう時代に見た人が今一般誌で描いていると、やはり個人的には注目がいってしまい、1話目から読もうという気になってしまうのですよね。故にそういった人が多く描いていた萌え系4コマに注目がいったわけです。だけどマイナーだったこのジャンルも最近だんだん存在が大きくなり、いまやアニメ化も行われるようになるとなかなか時代の変化を感じます(でももうあれから10年近く経ってるのか……)。
余談ですが、今ゲーム音楽の作曲をしている人や、ゲームの主題歌を歌っている人の中にも、その時代の同人出身だという人はわりといます。こう考えると、同人が人材育成の場となっている側面は昔よりさらに大きくなっているのでしょう。
現在、同人では東方Projectがブームのようですが、そこで活動している人間が、数年後にはマンガ家や他の分野で活動している人が大勢出ているかもしれません。
コメント
ご意見、楽しく拝見させていただきました。
しかし、もうとっくにオタ系の商業誌は東方系の同人作家を拾いまくっていますよ。
少し、何を今更、という気もしないでもないです。
本文中に例が挙がっているきらら系だけでいっても、
「はるみねーしょん」の大沖
「ねこきっさ」のととねみぎ
「純真ミラクル100%」の秋★枝
「あっちこっち」の異識
などなど、枚挙に暇がありません。
この他、電撃系などの雑誌に目を向けると、その数はもっと大きくなります。
まあ、東方系だけでなく、ある程度の大手サークルの作家はデビュー前から固定客がついているので、こういったオタ系商業誌にしてみたら美味しいわけで。そりゃあ昔っから拾いまくっていますよね。
はじめまして。
まぁ何も東方系以前から描いていた人が東方系で改めて注目を浴びてってパターンもありそうですがさておき。(ととねさんとか秋★枝さんとか)
確かにサークルで注目を受け、コミケでスカウトをガンガンされているという話はたまに聞きますね。
編集者が出向いて名刺を置いていった(確か電撃系)という。
有名サークルでマンガも描ける人にはメールも含めてスカウトがよく訪れたりするそうです。
まぁ確かに実際にマンガ等描かれたサンプルを見て声をかけるワケですから実力も判断出来ますし、効率も良いですしね。
葉鍵系で面白いのは、直接同人誌からのスカウトも確かにあるのですが、公式アンソロジーからのワンテンポ挟んでのデヴューというのもありますよね。元々二次創作されてる人にアンソロの人が声をかけ、何度か掲載してるウチに他の出版社からも声がかかったりするって感じで。
荒井チェリーさんとかそうかな?
一迅社(スタジオDNA)だと、そのまま自社のぱれっとに行ったり、REXでデヴューしたりしますし。結城、武梨兄妹とか。
元々二次創作されてた方がオリジナルを描かれたりすると、同人時代から応援していた者とすれば「がんばれ!」って応援したくなっちゃいます。
まぁでもメジャーになるにつれ心のどこかで「寂しく」感じるところもあったりするんですけどね(^^;
[漫画][同人]同人誌即売会での「スカウト」は何時頃からあったのかと言う話とか
今証拠を出せるので言えば、1985年以前。最初が何時頃かは知りません。 同人誌即売会に関して言えば、大きくなったのは第三期同人誌ブーム以降だから1975年頃にはあったかもしれ…
個人的に思ったんですけど
恋愛や事件などといったものではなく、女の子が日常を暮らすシーンだけで面白いという
萌え系4コマってのは、この手のギャルゲー同人誌にある
キャラクターの日常を書いた漫画から出発してるんじゃないでしょうか
(はなとゆめ系の少女漫画の影響もあるんだろうけど、So Whatなんかは今でもお勧め、ツンデレいるしw)
で、その作家さんが商業進出する時に
自分がコミケでうけた方法をそのまま持ってきた(自分の持ち味を生かした)
それが大ヒットにつながったと
僕も昔の葉鍵系(特にかのおね全盛時代)の作家さんが好きで今でも追いかけていたりします
ひひひさんやういさんもそうですけど、(多分)ROで有名になったランチさんとか、あと依澄れいさんなども挙げられるかも?
同人を辞められた藤堂さんやとどえさんも大好きでした
しかもこの方たちは繋がりがあって、よく合同誌など出し合っていましたよね(共同のBBSを持っていたりもしていましたね)
そういうのが(同人創作活動ができない自分には)羨ましく思えたり、また一方で和やかな気分になれたものです
横レスですが
>ml3さん
の意見は正鵠を射ていると思いました
あの手の同人誌のよさは、ヒロイン同士の関係やなにげない日常の端正な描写によって成り立っていたと僕も思います
そして今ではそういう作風は、東方に受け継がれているのかな、とも
とても懐かしく思ったので書き込ませて頂きました