ここ近年、「美術学校系(もしくは美術部系)マンガ」が増えてきた様に感じます。『ハチミツとクローバー』(美大)、『ひだまりスケッチ』(高校美術科)、『GA』(高校美術科)、『スケッチブック』(美術部)、『ぽすから』(美術予備校)等々。
これらが増えたのは、一般の人からはあまり縁がない「美術系学校(部)」というものが舞台という点で興味を惹くことがありますし、且つマンガ家のほうも美術系の学校経験者が多いので、そういった世界を表現しやすいというのもあるかもしれせん。さらにこういった学部って個性的な面々が多そうですし、実際多くの作品で変わったキャラクターが登場してますしね(もしくはみんな変わっていて、まともな人が苦労するパターンとか)。
で、これら美術系の描写が昔から多かったマンガ家さんがいらっしゃいます。それは冬目景さん。氏は代表作である『羊のうた』でも主人公とヒロインの1人八重樫葉が美術部に所属していますし、『イエスタディをうたって』でも、美術予備校の描写がよく出てきます。
そんな冬目さんの最新作が、美術予備校を舞台にした『ももんち』。
この作品は、美術浪人した主人公である岡本桃寧が美術予備校で様々な人と繰り広げる物語。ちなみに桃寧の見た目はショートカットからか『羊のうた』の八重樫を彷彿とさせますが、性格はそれより子供っぽい感じです。なんというか、『ひだまりスケッチ』のゆのがもうちょっと経って予備校に通ったらこんな感じになるのではという印象。
なんか帯の裏で、その性格が表れているというか。「しゃくとりむし」がツボ。
さて、冬目マンガでは『羊のうた』『ハツカネズミの憂鬱』など暗めのテイストの作品と『イエスタデイをうたって』のようなものがありますが、これは後者タイプ。ただ、そこは冬目テイストというか、独特の空気が流れます。
例えばこの桃寧の家族では、父が放浪しているのですがそれにまつわる兄や姉、そして母との間の空気が冬目節で流れている感じ。
また、この作品のあどがき冬目さんが「目指したのは昔の少女漫画」と描いているように、桃寧やそれをとりまく周りの人の関係が、そんな感じっぽくなっています。つか、あまりの桃寧の純情さは、まさしく昔の少女マンガ的な感じで、見てて親心が沸いてきそうな感じです。
で、少女マンガらしく恋愛模様も様々で、友人含め様々な恋愛(もしくはあこがれ)が繰り広げられますが、しかもそれは受験という環境もありハッピーなものばかりではなく、それぞれの持つ淡い心境が伝わってきます。ついでに両親の関係もある意味そんな感じかも。
というわけで、最近の美術系マンガやアニメに興味を持った人、昔の少女マンガテイストの作品を読みたい方、冬目さんのファンの人(とりわけ『イエスタデイをうたって』が好きな方)は読まれるよ良い感じだと思います。
コメント
『ももんち』を読んで振り返ってみる、冬目景ヒロインズ
先ごろ発売となった冬目景先生の最新作『ももんち』がグレイトすぎてなんだか心がほっこりしました。
今までの冬目先生の描かれてきた個…
はじめまして。通りすがりのものです。
お気づきかも知れませんが、「ももんち」に出てくる夏樹ちゃんとその彼氏は「イエスタデイをうたって」に出てきた現役生カップルの1年後の姿と思われるので、「イエうた」好きにはたまりませんね!