Web(アプリ)マンガの新作連載は「強くてニューゲーム」な名作と戦う状況

近年、Webもしくはアプリでのマンガ連載というのが急増しています。ジャンプもアプリ「少年ジャンプ+」に力を入れていますし、今年に入りサンデーも「うぇぶり」、マガジンも「マガポケ」にリニューアルするなど、ネットを介したマンガ方面への展開が進んでいます。
さて、それらは現在出版不況の紙媒体でのマンガ連載を補うものにもなっており、ここで連載されているマンガも多数あります。

しかし、実際にこれらでの新作連載は、見てもらうだけでもかなり厳しいのではないかと思うことがあります。

Webマンガ(主にアプリ)のシステム

まず、大前提として、現在のWebマンガ、アプリマンガには読み方のタイプがあります。

ひとつは、完全無料型。どれをいくら読んでも完全無料というものです。もちろん新作でなくなった話や、単行本化された話は削除されることも多いですが、基本的に金銭がかかることがないというもの。これは課金が難しいWebでのマンガが多いですね。そのためか、広告が含まれることが多いです。
そして、アプリ特有のコイン(チケット)型。時間経過もしくは広告閲覧などで得られるコインを使い、マンガを読むもの。コインの回復しやすさはアプリ次第。
しかし全部が回復のコインで読めるとは限らず、特定の話数(主に中間)は課金必須のこともあります。おそらく、アプリではこれが主流ではないでしょうか。

それに購入型。Amazonなどと同じように電子書籍を購入するもので、話数単位、巻数単位はそれぞれで違います。ただ、1巻分くらいは無料のことが多い。あとは最近Kindle unlimitedなどの定額制もあります。

今回は、紙の雑誌の代替となるような、それ自体が一冊の本(雑誌)である形態の完全無料型とコイン型について書きます。

新作と共にある過去の名作

さて、アプリを見てみると、トップページにはそこで閲覧可能なマンガが表示されます。シタの画像は『少年ジャンプ+』のトップ。

少年ジャンプ+

Webという性質上誌面の限界がないので、かなりの数が揃っていることが多いです。
そしてこれらには、新作連載のみならず、過去の名作、有名作品も掲載されていることが多いです。

例えばうぇぶりなら『タッチ』や『犬夜叉』など過去のサンデーの名作、少年ジャンプ+なら『キン肉マン』『ドラゴンボール』『黒子のバスケ』といったもので、知名度が高く、かつて人気を博したもの。

うぇぶり 

新規の作品ばかりではなくこういう過去の有名作品を置くのは、そのサイトやアプリへ誘導するための看板の役割が大きいでしょう。知名度が低いサイトやアプリでは、そもそもユーザーが読みにきてくれないですが、これら知名度が高いものがあることで、それが無料で読めるならと来てくれる人も増えます。

それもあり、非紙媒体雑誌系のマンガアプリでは、大半が過去の多少なりとも知名度のある作品というところもあります。

新人の新作マンガと過去の有名名作マンガが同じ土俵という状況

しかし、これを新規連載している側から見ると、すでに知名度が高く人気を博たという実績持ちの作品と、閲覧してもらうかを競わなければいけないことになります。(これはあり得ない過程なので仮の話になりますが)そもそもそれらから知名度をとっても、かつて新規連載の時に人気になった作品なので、出来が良いのは保証されています。それが知名度も人気も得た後となれば、まさに「強くてニューゲーム」状態のキャラと、ニューゲーム状態で戦わなくてはいけないようなものです。そんな状況に、これらに掲載されている新作は置かれているということになります。
喩えれば、今の週刊少年ジャンプに『ドラゴンボール』や『北斗の拳』、『幽遊白書』、『ジョジョの奇妙な冒険』が連載されているようなものです。サイトやアプリによっては、むしろ新人育成の月刊雑誌みたいなところで、その有名作品が掲載されているような状態かもしれません。

そして、もしそのアプリがコイン制の場合、それらとコインを奪い合っていることになります。それでなくても、せっかく訪れたユーザーの閲覧時間を奪ってしまうことになるわけです。昔と違って娯楽過多であるので、この「ユーザーの時間が奪われる」ことはかなり大きいのではないでしょうか。

さすがに対策はしているだろうけど

つまり、それら知名度が高い存在がいるために、知名度が低い新人の連載は、そもそも読んでもらうところまで辿り着けないという状態になりやすいのです。
おそらくこの問題は出版側も把握していて、コイン製の場合その対象から過去の名作を外したり、特別枠的にランキングからは除外したり、期間限定にするなどして、そちらと同じラインにするのではなく新作の方に誘導しているように見えます。しかしながら、存在する以上どうしてもコインもしくは閲覧時間的に競ってしまうことになるのではないでしょうか。

同一アプリの問題だけではありません。今はアプリが複数生まれてそれぞれの競争が激しくなっているので、とりわけ紙媒体雑誌系ではない、新作資産の少ない類のアプリではこういう過去の名作を押し出すしかないわけで、Webコミック全体はそれと戦うことになります。

こうなると、Webコミック全体でも、新作マンガというのは注目度において、かなり不利な戦いをしていることになります。

電子書籍、そして書店でも同じ問題は起こる

しかしこれはAmazon Kindleなどで販売している電子書籍、そして紙の本でも同じかもしれません。
電子書籍において、古い本は無料、読み放題のものがけっこうありますし、セールもよく行われます。さらに本屋でも映画化、ドラマ化をすると、平積みがそれで埋め尽くされることになります。

すなわち、電子書籍や再販など、過去の作品を見る体制が整ったため、今までマンガを発展させてきた存在である名作が、今はそのために新しい作品の大きな壁になってしまっているのではないでしょうか。

新作をさらに過去作より目立たせたくてはいけない

よって、どこかでこれらの過去の名作より、新作を前に押し出さないと、その後が続かないことになるでしょう。もちろん過去の名作マンガが読める環境があってもよいのですが、それは新作への注目を妨害しないところに置かないといけないと考えます。

少なくとも出版社系のアプリでは、新作マンガと過去のマンガの無料コインは分けたほうがいいと思っています。そうすれば、名作を読むので来た人も、そちらのコインがなくなれば新作の方を読むことになるので。

面白い新作は目立たせたい

また、読み手としては、やはりおもしろいと思ったものは、積極的にアピールすべきだと思います。せっかくネットに繋がっていて、しかもこれとばかりにアプリにはTwitter連携があるので、それを使うなど。

正直、自分的には一昔前だとネットで感想を書いたりするのもどこかおこがましいとか恥ずかいみたいな気持ちがありましたし、今もそれを持っています(少なくとも「書いて宣伝してやってるんだ」的な意識は持ってはいけないというのは絶対的にある)。故に書くにしても本気で長文で書かないといけないみたいな気持ちもあり、それが更新を止めてしまっていた一因でもあると思います。
しかし今の状況を見ると、そんなことを言って躊躇しているとそれこそ続きが読めなくなってしまう可能性が高いほど、今の状況は楽観視出来ないと思うので、やはり面白い、続きが読みたい作品は、積極的にそれを少しでも声に出すべきだと思いました。
なので今後、このブログ、もしくはTwitterでは、書籍でもWebでも良いものが見つかったら、短くてもそういうものにも触れてゆこうと思っています。

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