先日、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の40年に渡る連載が終了しました。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 200 特装版 40周年記念 (ジャンプコミックス)
こち亀の特筆すべきところはいろいろありますが、とりわけすごいのは40年間という長期連載の中で休載なく続け、単行本を200巻も刊行したことでしょう。
そこで思うのは、では今後こち亀を超す、もしくはそれに準ずるくらい単行本の巻数を重ねられるマンガ作品があるかどうか、ということ。
というわけで改めて調べてみたのですが、連載は長く、その作品関連での単行本巻数は多くても発行形態がいろいろと変化しているものが多く一概に巻の数字では比較出来なかったりもします。それもふまえて今回主立ったものを抽出してみました。
復刻版、愛蔵版、コンビニコミックなど、再収録をしたものは含まず、あくまで新規出ししたシリーズのみでの換算とします。ちなみに巻数、連載判断は2016年9月26日時点のものになります。
現在同一タイトルで100巻を越えているマンガ
まず、同じタイトルで且つ100巻を越えていて、現在も連載中(不定期含む)のもの。
ゴルゴ13(さいとう・たかを)
現在連載中のもので、200巻まで届く可能性が最もあるのは『ゴルゴ13』(現在181巻まで刊行)。『ビックコミック』(小学館)連載。連載開始は1960年代とこち亀よりも前。
リイド社というさいとう・たかを作品がメイン(経営が親族)の出版社から単行本が出ていることで、確実に200巻まで出されると思っています。というか200巻まで行った時点でどうなるかが心配ですが。
ちなみに同じくさいとう・たかを作品としては、『鬼平犯科帳』が98巻まで出ています。
クッキングパパ(うえやまとち)
そしてモーニング連載中の『クッキングパパ』は138巻まで刊行中。こちらも1話完結型なのもあり、且つ講談社の主要マンガ誌の連載でもあるので、このままいつのまにか200巻到達の可能性はかなりあると思っています。
難波金融伝 ミナミの帝王(作:天王寺大 画:郷力也)
139巻まで出ている『ミナミの帝王』。マンガはいろいろな時事ネタを織込み安定しているので連載は続きそうです。どっちかというと、同系列の漫画サンデーも休刊してしまった今、掲載誌の週刊漫画ゴラクが休刊とならないかのほうが(現在の連載陣からして多分大丈夫とは思いますが)。
はじめの一歩(森川ジョージ)
少年誌で今一番最長なのが週刊少年マガジンの『はじめの一歩』。現在115巻(いつのまにか長いといわれていた『コータローまかりとおる!』を越えてしまいましたね)。特筆すべきはこれは1話完結型ではないのにもかかわらずここまで長いということ(そのせいで作中で時代とか試合でいろいろ影響は出ていますが)。
この作品においては、電子書籍の行方も本誌週刊少年マガジンの動向含め気になります。
浮浪雲(ジョージ秋山)
ジョージ秋山の『浮浪雲』は『ビックコミックオリジナル』の長期連載で107巻。同誌は50巻を越える長期連載作品が多いですが、その中でも単行本の巻数はトップになります(つい最近までは『あぶさん』)。時事ネタ風刺がけっこう多かったりする。掲載誌が月2なのでさすがに200巻までは遠いですが、連載既刊では1973年スタートでの43年と、ゴルゴ13同様既にこち亀を越えています。
その他
『美味しんぼ』も111巻が出ています。ただ最終回と銘打たれてはいませんが、スピリッツでの連載は事実上終了して不定期掲載となっておりますので、200巻到達はかなり難しいと思われます。
また、連載が終了している作品では、『静かなるドン』(全108巻)、『あぶさん』(全107巻)、『あさりちゃん』(100巻ジャスト)などがあります(ただ『あさりちゃん』は新シリーズとして再びスタート)。
タイトルは違っても事実上同一作品で100巻を越えた漫画
ここまでは同一タイトルで続いたものを出してみましたが、同一タイトルではなくとも、シリーズが続いたままタイトルが『新○○』など新しいものに変わり、それを含め100巻を越えている作品はけっこう存在します。
『ドカベン』シリーズ(水島新司)
週刊少年チャンピオン連載の水島新司の野球漫画『ドカベン』は初代『ドカベン』から『大甲子園』等を経て現在の『ドカベン ドリームトーナメント編』まで一連の繋がりがあります。その単行本の巻数を通算すると、200巻に迫っています(『ドカベン』48巻+『大甲子園』全26巻+『ドカベンプロ野球編』全52巻+『ドカベン スーパースターズ編』全45巻+『ドカベン ドリームトーナメント編』既刊23巻)。
今回のドリームトーナメント編が最終章になるようですが、それで200巻を超すかに注目です。
『刃牙』シリーズ(板垣恵介)
週刊少年チャンピオン連載の『刃牙』シリーズ。最初の『グラップラー刃牙』(全42巻)から『バキ』(全31巻)、『範馬刃牙』(全37巻)、そして現在連載中の『刃牙道』(~13巻)まで通算すると、120巻を越えています(外伝を合わせるともっと増える)。なんかこのままだとあと1回新シリーズやってしれっと通算200巻になっていそうな勢いも。
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ(荒木飛呂彦)
週刊少年ジャンプで連載していた『ジョジョの奇妙な冒険』は、第5部までは巻数を重ねていましたが(全63巻)、その後第6部からはそれ毎に巻数がリセットされるようになりました。しかし現在全部通算すると117巻。最近ではひとつの部が20巻程度なので、12部くらいまでやれば200巻に到達しているかも(というかいつのまにか到達しそうな予感がかなり)。
その他
ほかには、最初の連載時とその後の連載開始時にかなり間が開いていて同一シリーズと見做してよいか微妙なので入れなかったのですが、ジャンプ黄金期の続編が近年他の雑誌で描かれることが多くなっており、それらの中でトータル100巻を越えるものが増えています。具体的には『キン肉マン』『キャプテン翼』『銀牙 流れ星 銀』(『魁!!男塾』シリーズは外伝がかなり多くそれらは今回は別とカウントしていますが、仮に合算すれば100巻に届くと思う)。
あと、掲載誌やその会社がかなり変わってカウントか難しいのですが、『超人ロック』も100巻を越えている模様。
関連

もうすぐ100巻なマンガ
そしてもうすぐ100巻というマンガもけっこう出てきています。先にゴルゴ13のところで書いた『鬼平犯科帳』のほか、『パタリロ!』(96巻)、『釣りバカ日誌』(94巻)、『名探偵コナン』(90巻)。外伝を合算して100巻越えという場合もあるみたいですが、パタリロ!も釣りバカ日誌も外伝の性質が本編と違う感じだと自分では思っているので今回は除外しました。
しかし、『こち亀』に迫るという意味でいうと、『コボちゃん』(蒼鷹社版全60巻+芳文社版現在35巻迄)がかなり有力じゃないかと思っています。終わる気配がないし、新聞連載は平気で数十年連載が続くので。
巻数を重ねる作品は多くなっているが全体のごく一部
しかし、私の小さい頃は30巻程度でも長期連載、こち亀を除けば『ゴルゴ13』と横山光輝の『三国志』の60巻が長期と言われていて、100巻なんて考えられないくらいでした。しかし現在では30巻越えなんて普通にあり、50巻越えでさえ珍しくなくなりましたね。ただやはり60巻以降になると、長期連載におけるマンネリや人気低下、そしてたとえ人気がある程度あっても既刊が置かれなくなり売れなくなる問題などで、やはり100巻近くまで到達するのはごく一部の作品です。
さて、今書いてきたのは大半が大昔、それこそ前世紀、ものによっては昭和から始まったような作品でした(当然と言えば当然ですが)。では、これから生まれる作品で、同じように100巻や200巻に到達する作品は出てくるのか。いや、そこまでいかなくても50巻とか60巻まで行く作品は多く出てくるのか。これは今までよりもかなり難しくなってくると思われます。それは出版やマンガ業界の状況が、数十年前と今ではまるで違っているので。そのあたり、次回くらいに書いてゆこうと思っています。