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里好
秋葉原駅前にバスケットコートがあった時代の青春~『トランジスタティーセット』2巻
- 2009-12-08 (火)
- マンガ感想(その他)
引き続き最近読んだものから。
里好『トランジスタティーセット ~電気街路図~』2巻読了。
ちなみに帯で隠れている表紙の片隅に、同じ作者の『うぃずりず』のりずがいたりする。そういえばこちらの舞台も浅草とか下町だから、そんな秋葉原から遠くないんだよなあ。
で、前にも紹介しましたが、このマンガは秋葉原が舞台。ただ、最近のマンガに多い萌えの町としてのみではなく、部品街など歴史のある土地としての秋葉原を舞台にしたマンガとなっています。「アキハバラ」ではなく「千代田区外神田の秋葉原」という感じ。ただ、萌えを否定しているわけではなく、新旧の両方が共存するキャパシティの広い町として描かれています。
■萌えの街とは違う側面も持つ秋葉原を描いた『トランジスタティーセット』 – 空気を読まずにマンガを読む
さて、今回の主な見所は、ヒロイン(というか主人公)すずと同じ高専に通う女子、キリコ(強引系)とエミ太(美形男性に見えるのが悩みの長身女の子)、みどりの正体の伏線を臭わせるものなどがあります。ちなみに前巻のカバーを外したところにもあった、すずの工作臭(ハンダ臭)フェチっぷりがなかなか。
まあ技術室のような臭いが嫌いじゃない私はわからんでもない気がするけど。そいや玄人志向のパーツでハンダ付けするPCノイズカットを作って以来、しばらくハンダごて使ってないなあ……とは個人的な話。
このあたりシリアス(っぽい展開)とギャグが交互に入っている感じです。で、前回は戦前、戦中の秋葉原の話がシリアス系の話としてありましたが、今回も過去の話、それもすずの中学時代で、すずの初恋らしきエピソードが入っています。それはかつて秋葉原の駅前にあったバスケットコートでのこと。たしか10年前の再開発前は現在ビルが立ち並ぶ辺りは駐車場で(その前は青果市場。今もあのへんに立ち並ぶ千代田海草とか古い食堂はその名残り)、その隙間にバスケットコートがあり、遊び場になっていたのですね。当時はまだ萌えというよりPCパーツなどの部品の町でしたが、それを買いに行っていたので、そこの前は必ず通りました。ちなみにその駅側正面には、『孤独のグルメ』にもちょっとだけ載っているラーメン屋もあったりしました。当時は秋葉原で食う場所はかなり限られていたので、そこでも何回も食ったなあ。
ちなみにバスケットコートがあったのは正確にはもっと前なので、現在高校生の設定のすずからは若干時間のずれが生じます。
物語は、すずが中学時代に親ともめて金髪だった時代に、秋葉原のコートで会った男に惹かれてゆき、そして今に至る様子。しかしこの描写は特に明示的なラブラブとか萌えではないのですけど、なんだかいい雰囲気なのですよね。まるでアキバにバスケットコートがあった時代っぽい青春というか。
ちなみに部品街の時代からはちょっと早い私としては、このバスケットコートの時代が一番秋葉原として印象に残っている時代でしたので、そういう面も含めて読み入ることが出来ました。
最近の秋葉原しか知らない人でも、この作品を読んでから実際に行くと視点が多少変わると思いますのでおすすめ。また、電子工作を思い出した人は秋月電子なりラジオデパートを覗くのもいいかもしれません。学研の『科学』が休刊になってしまう時代だからこそ。
萌えの街とは違う側面も持つ秋葉原を描いた『トランジスタティーセット』
- 2009-05-06 (水)
- マンガ感想(その他)
私は東京の西部に生まれてからほぼ住み着いているので、昔から秋葉原には行っていました。まあ中心は池袋や新宿、中野だったのですが、何か電化製品をいろいろ探したいときは山手線に乗ってそっちまで行くという感じでした。
さて、今ではすっかりオタクの街と呼ばれるようになった秋葉原ですが、今のような萌え系の店があったのは昔からではなく、10年前、すなわち2000年あたりくらいから徐々にそうなっていったという感じだと思います。で、その前(1995~2000年くらい)はパソコン系のもの(パーツとか)を売る店が多かったですね。この当時パソコンをはじめて自作で作り始めた私は、安いものを得るために店をはしごしたりしたものです。おそらくは価格.comもまだなかった時代の話です。でもメモリだけはいつも一段階安い神和電機だったなあ。あと、アーケードゲームにハマりまくっていた時代だったので、基板屋にも行ったっけ(今はかなり壊滅してしまいましたが)。ちなみにこのころ出来たばかりのとらのあなが、かなり急な階段を上っていくビルの3階にあったりしました。
さらに前、1990年代前半の秋葉原は、家電とゲームソフトの街でした(私にとっては、ですが)。まだ雑多さが残っていたソフマップなどで、スーファミの安いソフトを探したものです。まあこの頃にはオタクの街っぽさはあまりなく、単に電気屋の影にゲームショップなどそっち系のものが少し紛れているという感じでした。
さて、個人的な思い出が長くなりましたが、このように秋葉原というのはかなりめまぐるしく変化をしてきたわけなのですね。そして、表通りに萌え系の店が目立ち始めた現在でも、あちこちにその名残を残しています。一番わかりやすいのは、駅近くの信号後ろ側にある旧秋葉原デパート下側の電子部品小売り通り、それに信号渡ってすぐのところにあるラジオデパート等々。それに合間に電子工作の人御用達の店とかも多く残っていたりします。
で、最近マンガでも秋葉原を描いたものはたくさんありますが、そんな昔ながらの一面を描いている作品がまんがタイムきららフォワード連載中の『トランジスタティーセット~電気街路図』。
『うぃずりず』の里好氏が描くこの作品は、祖父の経営していた部品店を継ごとうしている女子高生、半田すず(やや部品フェチの傾向あり)の物語。
その部品街のすずの店の正面にメイドカフェが出来、そこのメイド店主であるすずの幼馴染のみどり(破壊的料理スキル持ち)と再会し、そこからいろいろと話が広がってゆくという感じ(ちなみに部品街なので老人の出現率高いです)。他にもすずに好意を持つ小学生なり怪しい中国人風の女性なり個性的な面々が周りをとりまきます。
文字通り、秋葉原に昔から存在し、今でも残っている部品街を舞台としていますが、秋葉原全体を扱っているため、表通りに出ると萌え系ショップがあったりホコテンWithカメラ小僧がいたり、一時期出てたラブドール風俗にまでちょっと触れられたりしています。あと、そこはかとなく先行者が出ていたのには笑いました。
ちなみに1巻の話では、戦時中の秋葉原、万世橋にまつわる話がこの作品の雰囲気と一風変わっていますが、印象的でした(一瞬F先生の『ノスタル爺』を思い出した)。
既存のマンガでも秋葉原を扱っているものは多いですが、このように萌え系やオタクの店以外の秋葉原を扱っているマンガはわりと少数派ではないでしょうか。しかし、私にはこのほうがリアルな秋葉原として受け取ることが出来る感じです。
あと、作者の里好氏も描いているのですが、秋葉原というのはこういった多種多様なものが共存しているところが魅力の一つだと思うのですよね。
話のほうはなんだかメイドのみどりがキーパーソンになりそうな感じですが、それはまた読み進めていけば出てくるでしょう。ちなみにアキバ系マンガでよくあるパターンでは、非オタのヒロインがオタ世界に浸食されていきますが、すずの場合はオタク方面にはどうあがいても染まらなさそうな感じ。いや、重度の電子工作オタか。
ちなみに秋葉原に通っていると、こういったところにもそのうち接点が出てくる様になることが意外とあったりします(音楽環境を整えるためにこういうところで売っているケーブルやオベアンプに手を出したりとかね)。なのでアキバに萌え系の店目的で通っている人は、もう一歩通りを曲がって、そこの光景を見てみませんか。
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