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日本の戦後政治史を学べるさいとうたかをの『劇画 小説吉田学校』
- 2009-06-24 (水)
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前回(政治マンガ『サンクチュアリ』を今読むと興味深い – 空気を読まずにマンガを読む)の続きを書かざるを得ない状況に。
■J-CASTニュース : 東国原知事本当にやる気満々 「国を変えるために私は国政に行く」
……ええと、そろそろオチのタイミング遅れだしていると思うんですけど……え、マジ?!
さて、今日紹介するものは『小説吉田学校』というものをさいとうたかをが劇画化した『小説吉田学校』というもの。
『小説吉田学校』は戦後の政界を舞台として、吉田茂やその周辺、後継の政治家が織りなすノンフィクションです。戸川猪佐武の原作をさいとうたかをが劇画にしました。
日本戦後のノンフィクションで政治史でその周辺も書かれているので、このへんの政治状況を理解するのに非常に役に立ちます。
で、この作品は戦直後から中曽根康弘総裁就任までなのですが、その時々で『総裁』という座を巡っての権力闘争が起きます。例えば吉田茂と三木武吉を味方とした鳩山一郎の戦い、佐藤栄作と池田勇人という吉田門下生の総裁争い、田中角栄と福田赳夫などの三角大福時代、ロッキード事件による総裁交代、三木おろし等々。それは永田町においてまさに政治家の命がけの戦いで、緊迫感がわきます。
まあ、何を況んやとすると、この当時の状況からだいぶ総裁の椅子が軽くなったなあと感じたと。まあ今に始まったことでもないかもしれませんが。
ちなみにこの本、今の有力政治家には、これら政治家と血縁関係の二世、三世議員も多いので、現在の政治を見る意味でも知識となります。特に日本史を学びたい受験生には、『まんが日本の歴史』と同様読んでおいたら楽に知識が入るものとしておすすめです。
ただ、残念ながら小説のほうはあるのですが、『劇画 小説吉田学校』のほうは廃刊となっています(コンビニで売っているコンビニマンガで見た記憶はあるけど)。ただ、中古で探せば売っていると思うので、興味があったら読んでください。
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萌えの街とは違う側面も持つ秋葉原を描いた『トランジスタティーセット』
- 2009-05-06 (水)
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私は東京の西部に生まれてからほぼ住み着いているので、昔から秋葉原には行っていました。まあ中心は池袋や新宿、中野だったのですが、何か電化製品をいろいろ探したいときは山手線に乗ってそっちまで行くという感じでした。
さて、今ではすっかりオタクの街と呼ばれるようになった秋葉原ですが、今のような萌え系の店があったのは昔からではなく、10年前、すなわち2000年あたりくらいから徐々にそうなっていったという感じだと思います。で、その前(1995~2000年くらい)はパソコン系のもの(パーツとか)を売る店が多かったですね。この当時パソコンをはじめて自作で作り始めた私は、安いものを得るために店をはしごしたりしたものです。おそらくは価格.comもまだなかった時代の話です。でもメモリだけはいつも一段階安い神和電機だったなあ。あと、アーケードゲームにハマりまくっていた時代だったので、基板屋にも行ったっけ(今はかなり壊滅してしまいましたが)。ちなみにこのころ出来たばかりのとらのあなが、かなり急な階段を上っていくビルの3階にあったりしました。
さらに前、1990年代前半の秋葉原は、家電とゲームソフトの街でした(私にとっては、ですが)。まだ雑多さが残っていたソフマップなどで、スーファミの安いソフトを探したものです。まあこの頃にはオタクの街っぽさはあまりなく、単に電気屋の影にゲームショップなどそっち系のものが少し紛れているという感じでした。
さて、個人的な思い出が長くなりましたが、このように秋葉原というのはかなりめまぐるしく変化をしてきたわけなのですね。そして、表通りに萌え系の店が目立ち始めた現在でも、あちこちにその名残を残しています。一番わかりやすいのは、駅近くの信号後ろ側にある旧秋葉原デパート下側の電子部品小売り通り、それに信号渡ってすぐのところにあるラジオデパート等々。それに合間に電子工作の人御用達の店とかも多く残っていたりします。
で、最近マンガでも秋葉原を描いたものはたくさんありますが、そんな昔ながらの一面を描いている作品がまんがタイムきららフォワード連載中の『トランジスタティーセット~電気街路図』。
『うぃずりず』の里好氏が描くこの作品は、祖父の経営していた部品店を継ごとうしている女子高生、半田すず(やや部品フェチの傾向あり)の物語。
その部品街のすずの店の正面にメイドカフェが出来、そこのメイド店主であるすずの幼馴染のみどり(破壊的料理スキル持ち)と再会し、そこからいろいろと話が広がってゆくという感じ(ちなみに部品街なので老人の出現率高いです)。他にもすずに好意を持つ小学生なり怪しい中国人風の女性なり個性的な面々が周りをとりまきます。
文字通り、秋葉原に昔から存在し、今でも残っている部品街を舞台としていますが、秋葉原全体を扱っているため、表通りに出ると萌え系ショップがあったりホコテンWithカメラ小僧がいたり、一時期出てたラブドール風俗にまでちょっと触れられたりしています。あと、そこはかとなく先行者が出ていたのには笑いました。
ちなみに1巻の話では、戦時中の秋葉原、万世橋にまつわる話がこの作品の雰囲気と一風変わっていますが、印象的でした(一瞬F先生の『ノスタル爺』を思い出した)。
既存のマンガでも秋葉原を扱っているものは多いですが、このように萌え系やオタクの店以外の秋葉原を扱っているマンガはわりと少数派ではないでしょうか。しかし、私にはこのほうがリアルな秋葉原として受け取ることが出来る感じです。
あと、作者の里好氏も描いているのですが、秋葉原というのはこういった多種多様なものが共存しているところが魅力の一つだと思うのですよね。
話のほうはなんだかメイドのみどりがキーパーソンになりそうな感じですが、それはまた読み進めていけば出てくるでしょう。ちなみにアキバ系マンガでよくあるパターンでは、非オタのヒロインがオタ世界に浸食されていきますが、すずの場合はオタク方面にはどうあがいても染まらなさそうな感じ。いや、重度の電子工作オタか。
ちなみに秋葉原に通っていると、こういったところにもそのうち接点が出てくる様になることが意外とあったりします(音楽環境を整えるためにこういうところで売っているケーブルやオベアンプに手を出したりとかね)。なのでアキバに萌え系の店目的で通っている人は、もう一歩通りを曲がって、そこの光景を見てみませんか。
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夜麻みゆき6年ぶりの単行本『トリフィルファンタジア』は優しいファンタジー
- 2009-03-13 (金)
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はてなのほうで夜麻みゆきさんのマンガがGファンタジーにて新連載を開始したというエントリーを書いたのが昨年の1月。
■久々に復活の夜麻みゆきマンガ『トリフィルファンタジア』は穏やか&かわいいファンタジー – 空気を読まない中杜カズサ
で、昨年末、とうとう単行本が発売されました。
ちなみに夜麻みゆきさんについては休業期間が長かったので、ご存じない方のためにちょっとだけ。
10年くらい前から『少年ガンガン』及び『Gファンタジー』を読んでいた人間には有名で、エニックスの名物『ドラゴンクエスト4コマ』でデビューして以来、 『レヴァリアース』『幻想大陸』『刻の大地』という世界観(オッツ・キイム)を同じくする作品を連載されます。その作品はファンタジーですが、その深い世界観とかわいらしく個性的なキャラクターが特徴的で、ガンガン系では有名な作家の1人でした。
しかし夜麻さんの体調の都合からその後長期休載。そして連載終了となっていまいます。ですが根強いファンは多く、復活が期待されていました。
それで前述のように、2008年初め、いきなり復活。ファンを喜ばせました上、GIGAZINE入りまでしていました。
■夜麻みゆき、4年の沈黙を破って月刊Gファンタジーで執筆再開 – GIGAZINE
さて、前置きが長くなりましたが、その単行本をじっくりと読んでみましたので今日はそれについて。
お話は、テルルという名の青い星にある砂漠の国、オンファスに住むトリフィルというパン屋に住むルナ&ルチルの姉妹に居候のジェイド(実は「彼」に至っては、連載1回目を見た時に女性だと思っていた……)の1話完結型の物語。基本的には大きなこと、派手な話ではなく、3人をはじめとした愛らしいキャラクターが、ちょっと不思議だけど楽しそうに日常を過ごしてゆく物語です。過去の夜麻さんの作品に比べると、どっちかというと静的な感じ。しかし、それが悪いというのではなく、その限られた場所でいろいろな展開が繰り広げられます。
絵柄やキャラは、昔とは若干変わっていますが、やはりキャラを見れば夜麻みゆきさんのキャラだというのがわかるかわいらしいものですね。
そしてストーリーの主な軸は「優しい話」と「不思議な話」。
この町の人、とにかく人がいいので、その優しい空気の中でのストーリーが示されます。例えば『商人と弟子はなかなか懲りない、のこと』という話では、ちょいとずるい商人が品を売りつけようとするけど、町の人の性格がよすぎてやがてそれに取り込まれてしまう話たっだり、『カゴの言うことは絶対、のこと』という話は、その街の優しさで成り立ついい話だったりします。
ちなみに、細かいところでギャグもけっこうあったりします。このギャグのテンポはやはり夜麻さんらしいなという感じ。
また、もうひとつは幻想ファンタジーと言うべき不思議な話。例えば名前もなく、誰も覚えていない博物館の話である『私とあなたはあらかじめ忘れられている、のこと』という話。ネタバレにならないように語るのは難しいのですが、あえて例えれば、みんなのうたに出てくる『まっくら森の歌』のような感覚を受けます(年齢限定ネタか?)。
しかしこの感じ、やっぱり『みんなのうた』におけるファンタジー的な雰囲気ですね。前述の『まっくら森の歌』とか『メトロポリタン美術館』のような。マンガで例えれば、これも昔エニックス雑誌で連載されていた天野こずえさんの『浪漫倶楽部』的な感じかなと。もしくは竹本泉先生のマンガ風でもあるような(あっちはSFだけど)。
ちなみにコメントによると、予定では全2巻とのこと。次で終わるとなると、ちょっともったいないような気もしますが、とりあえず2巻を待ちます。
近年のファンタジーには派手なものが多いですが、このようなゆっくりとしたものもわりと好きです。夜麻みゆきさんの作品が好き、ゆったりとしたファンタジーが好きな方は読まれてはどうでしょうか。
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Dr.モローの暴走した編集部マンガ『やりたいほうだいフジえもん』
- 2009-01-30 (金)
- マンガ感想(その他)
開設してから最初のうちくらいは頻繁に更新しないといけないかなあと思ったので、今日も。
コミックマーケットに行っている方はDr.モローさんのマンガをほぼ必ず目にしたことがあると思います。そう、コミケカタログに昔から載っているマンガの作者です。氏は商業誌でもマイナー系の雑誌を中心に活動し、『賽の目繁盛記』は昔からファンがいる作品です。
とはいえ、やや商業誌ではコミケカタログのものと比較してはやや毒を抑えめにしている感じがあります(まああくまで比較で、ほかのよりはよほど毒が存在するのもあります)。しかし、最新刊の『やりたいほうだいフジえもん』では違いました。
表紙の帯はコミケ主催者のひとり筆谷氏(つか、少年画報社の偉い人がワニブックスの単行本の宣伝帯になっているのか。垣根を越える時代だなあ)。

で、内容ですが、舞台はコミックガムの編集部で、実在の編集部員をモデルにした、「未来のほう」(悪徳消化器セールスの消防署のほうと同じ感じ)から来た『フジえもん』が、これまた実在の編集者や作家をモデルにしたキャラを相手に暴れまくるというもの。ちなみにコミケカタログのイワエモンとは逆方向で、殴る蹴る(主に作家を)の超肉体派。

P52より
ちなみに作家さんはネコミミをこよなく愛する蟻山健太郎(『月詠』の有馬啓太郎先生がモデル)や、ハワイによく行く過尿井アヤ(門井亜矢先生がモデル)などが出てきたり。

P16より
ちなみにこのギャグ、門井亜矢先生のサークル名が「冗談じゃないよっっ!!」ということをわかっている人だけに通じる細かいギャグ。
カバー下の表紙に書いてあるところによると、コミックガム10周年の記念マンガということで販促気味の「ひき逃げみたいなマンガ」にしたら、連載になってしまったということですが、たしかにかなり暴走しています。モデルのいる作家さん(特に蟻山先生)が殴られたり蹴られたり。あと、同誌に連載している『一騎当千!』のおもらしネタがヤケに出てくる。つか、モローさん以外でここまでコミックガムの作家や編集部をいじれる人はいないだろうなあ。
というわけで、コミケカタログ以外での毒モロー成分を補給したい人は読んでみてください。
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