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幼なじみ同士達のほんわかとした青春ラブコメ『ココロ君色サクラ色』
- 2011-04-25 (月)
- マンガ感想(その他)
このブログではお久しぶりです。というか日付を見てみると前回の更新が去年だったので、ここは今年初の更新となるのですな。
ちょっと今年に入ってから個人的なことがさらにいろいろとあって、ここのブログまで書けませんでしたが、その期間もマンガは積み上がる程読んでいました。そして多少時間の出来た今、それらについていろいろ書きたいのですが、とりあえず今日は雑誌連載の時から注目していた桑原草太先生の『ココロ君色サクラ色』から。
この作品はもともと4コママンガ雑誌『まんがタイムスペシャル』で連載されていたのですが、4コマ誌のなかにあってストーリー形式であり、1話のページ数もあまり多くないショート編成、しかも隔月連載というので、2009年スタートなのにここでやっと単行本化となりました(現在は『まんがタイムLovery』に移籍して毎月連載)。
ジャンルはひとことで言えばラブコメのショートストーリー連作形式。メインは中学生の詩原小春と花枝陽葉介のふたり。この二人は幼なじみで、小さい頃から一緒にいる感じ。ただ、ラブコメでよくあるお互いに思いを胸に秘めつつ表面上はその気がないように見せかけている、というのとはちょっと違います(この二人とは別にそういうのもあるのですが、後述)。この葉介のほうは、小春に対してその感情を隠そうとせず、本人の前だろうが周囲の目があるところだろうが、ひたすら小春への愛情を隠そうとしません。ちなみにかなり情熱的に迫るのは、お爺さんがイタリア人という影響もあるらしいです。
そんな葉介に対し、小春は気のないそぶりを見せて、いつも軽くあしらっています。ただ、小春が陽介に対して気がないかというとそういうわけではないのですな。
そして何より、その気がないように見せかけつつ、普段から一緒に居るのですな。もちろん葉介が常に近寄ってくるからなのですが、だからといってそれから逃げるようなこともなく、ややあきれながらもいつも一緒に居る。この関係がなんかいい感じなのですよ。普段はそっけない小春自体も、時折葉介に対してなんかそれらしき反応を見せることがありますし。この二人の関係が、どことなく見ていて微笑ましいのです。
そしてラブコメらしき気恥ずかしいような感じももちろん。
さて、この二人は幼なじみだと書きましたが、このふたりの家族(詩原家と花枝家)も家族ぐるみのつきあいで、こんな二人の関係は小春の両親も公認だったりします。というか父親(少女マンガ家)小春より乗り気だったりする感じ。
そして、このふたつの家族、実は小春や葉介以外にもそれぞれ兄弟姉妹がいるのですが、それぞれ学年が同じ、しかもそれぞれが男女別のペアがいるのですな。詩原家の長女(小春の姉)杏は高校生で、花枝家の長男(葉介の兄)の蒼一と幼なじみ。
そして詩原家の三女で幼稚園に通う桃は花枝家の三男実と同じ年齢。さらには詩原家には小学生で男の子の双子、空と太陽もいるのですが、これもまた花枝家にはこのみとくるみという女の子で小学生の双子がいたりします。微妙に親同士がわざと家族計画合わせたんじゃないかとちょっと下ネタライクに思ったりもしますが。
そしてこれらそれぞれのペアも小春たちとは違うそれぞれの関係を構築しています。蒼一は明らかに杏に好意を持っているのに、葉介とは逆に素直になれないでいる、ケンカ友達のような関係、桃と実は微笑ましいお互いを気にする感じ等(双子はこれからかな)。
こんな感じで、メイン二人の周辺も温かくほのぼのとした感じなのですね。
ちなみにこれら全員が幼なじみという、幼なじみもの大好きな人にはおいしすぎるモノでもあります(まあ現役の幼稚園児や小学生を幼なじみと定義するかは微妙かもしれないけど、という幼なじみもの好きのこだわり)。
桑原草太先生といえば、ガンガンで連載中の『紅心王子』のほうをご存じの方も多いでしょうが、こちらも良い作品だと思いますので、こういったやわらかい雰囲気の好きな人にはおすすめです。
ちなみに最新号では葉介のほかに幼なじみが出てきたり、別の展開もあるかという感じも。まだ一巻なので小春と葉介やその他の関係を見守ってゆきたいと思います。
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農業をしていた立場からの貴重なエッセイコミック、『百姓貴族』
- 2010-09-06 (月)
- マンガ感想(その他)
荒川弘さんといえば、先日長期の連載を終えて終了した『鋼の錬金術師』の作者として有名でしょう。ごく少数の人だけ『ゲーパロ4コマグランプリ』を思い出しているかもしれませんが。
さて、その荒川さんがスクエニ以外でもマンガを連載し、単行本を出しているのはご存じでしょうか。それは、これ。
『WINGS』で連載中の『百姓貴族』。タイトル通り、もともとは北海道で農業をしていた荒川さんの農業コミック・エッセイとなっています。新書館の雑誌というと『WING』含め、ほとんど女性向きのマンガのイメージがありますが、これは女性のみならず、男性も面白く読めるものとなっています。
内容はもちろん実際に体験した農業のこと。荒川さんは実家が農業経営で、マンガ家になる前は北海道で7年間農業をしていたそうで、その時の体験をもとに、このマンガが描かれています。しかし単純な経験をそのまま記したものではなく、そこは荒川さんだけあって、ギャグが冴え渡るようにおもしろおかしく描かれています。ノリはハガレンの巻末マンガな感じなので、あれが好きな人なら楽しく読めます。
ちなみに個人的に一番好きなのは、ジャガイモの収穫中、選別機から何故かポテチ(未開封)が出てきた時のツッコミ。「生き急ぎすぎだイモ!!」。
さて、このマンガが非常に注目な点は、実際に農家に生まれ、そして農業(酪農含む)を経験して育った作者の立場から「農」というものが描かれていること。今までも農業のマンガは、アニメ化、ドラマ化された『もやしもん』など、それなりにありますが、実際に内部からの視点で切り込んだことが書いてあるのはなかなか見られません。特に生活に根ざした点は、読んでいてかなり興味を引かれます。
実際に体験されたらしきことが多いのですが、農業にほとんどなじみのない私にとってはかなり新鮮なことが多く描かれています。例えば農業の実際の体験録はもとより、それによる周囲のこと(野生生物との対峙や野菜泥棒について、また農業高校での生活なども)も描かれています。
その中にはどう見てもサケが農場に転がっているとか「そら嘘だろ」と思えるようなものも(川と台風によるものらしいです)。
余談ですが、北海道の人のジンギスカン重視は、うちの周りの北海道出身の人の誰に聴いてもそう言いますな(ちなみにうちの親父も北海道出身なので、50年前の上京時に持ってきたというでっかいジンギスカン鍋が物置にしまってあるという)。
あと、生産調整についてなど、農を行なっている上での心情も描かれています牛に対する気持ち。酪農、畜産業では家畜は生活の糧であると同時に消費財されるものでもあります。故に育てても肉にして出荷することになりますし、病気になった時などは処分しなければなりません。しかし、そこでもただ単にものを右から左に動かすのではなく、やはり複雑な想いがいろいろとあるようです。
このような農業を実際にされる方からの話というのは、マンガに限らず多くは無いと思うのですよね。現在農業問題についてはニュースやネット、その他媒体でいろいろと言われることがあります。特に食糧自給率の問題とか。ただ、その中に実際に農業をするしている人の視点というものは不可欠でしょう。そういった意味で、本書は貴重な一冊だと思います。目の前に当たり前のようにある食物に対して、少しでも意識する機会ともなるでしょう。
ともあれ、農業に興味がある人はもちろん、興味がない人も一度読まれることをオススメします。わかりやすいですし、荒川さんのギャグも冴え渡っていますし。
■関連:楽天ブックス|著者インタビュー -荒川弘さん『百姓貴族』
![]() |
百姓貴族 (WINGS COMICS) 荒川 弘 新書館 2009-12-11 |
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秋葉原駅前にバスケットコートがあった時代の青春~『トランジスタティーセット』2巻
- 2009-12-08 (火)
- マンガ感想(その他)
引き続き最近読んだものから。
里好『トランジスタティーセット ~電気街路図~』2巻読了。
ちなみに帯で隠れている表紙の片隅に、同じ作者の『うぃずりず』のりずがいたりする。そういえばこちらの舞台も浅草とか下町だから、そんな秋葉原から遠くないんだよなあ。
で、前にも紹介しましたが、このマンガは秋葉原が舞台。ただ、最近のマンガに多い萌えの町としてのみではなく、部品街など歴史のある土地としての秋葉原を舞台にしたマンガとなっています。「アキハバラ」ではなく「千代田区外神田の秋葉原」という感じ。ただ、萌えを否定しているわけではなく、新旧の両方が共存するキャパシティの広い町として描かれています。
■萌えの街とは違う側面も持つ秋葉原を描いた『トランジスタティーセット』 – 空気を読まずにマンガを読む
さて、今回の主な見所は、ヒロイン(というか主人公)すずと同じ高専に通う女子、キリコ(強引系)とエミ太(美形男性に見えるのが悩みの長身女の子)、みどりの正体の伏線を臭わせるものなどがあります。ちなみに前巻のカバーを外したところにもあった、すずの工作臭(ハンダ臭)フェチっぷりがなかなか。
まあ技術室のような臭いが嫌いじゃない私はわからんでもない気がするけど。そいや玄人志向のパーツでハンダ付けするPCノイズカットを作って以来、しばらくハンダごて使ってないなあ……とは個人的な話。
このあたりシリアス(っぽい展開)とギャグが交互に入っている感じです。で、前回は戦前、戦中の秋葉原の話がシリアス系の話としてありましたが、今回も過去の話、それもすずの中学時代で、すずの初恋らしきエピソードが入っています。それはかつて秋葉原の駅前にあったバスケットコートでのこと。たしか10年前の再開発前は現在ビルが立ち並ぶ辺りは駐車場で(その前は青果市場。今もあのへんに立ち並ぶ千代田海草とか古い食堂はその名残り)、その隙間にバスケットコートがあり、遊び場になっていたのですね。当時はまだ萌えというよりPCパーツなどの部品の町でしたが、それを買いに行っていたので、そこの前は必ず通りました。ちなみにその駅側正面には、『孤独のグルメ』にもちょっとだけ載っているラーメン屋もあったりしました。当時は秋葉原で食う場所はかなり限られていたので、そこでも何回も食ったなあ。
ちなみにバスケットコートがあったのは正確にはもっと前なので、現在高校生の設定のすずからは若干時間のずれが生じます。
物語は、すずが中学時代に親ともめて金髪だった時代に、秋葉原のコートで会った男に惹かれてゆき、そして今に至る様子。しかしこの描写は特に明示的なラブラブとか萌えではないのですけど、なんだかいい雰囲気なのですよね。まるでアキバにバスケットコートがあった時代っぽい青春というか。
ちなみに部品街の時代からはちょっと早い私としては、このバスケットコートの時代が一番秋葉原として印象に残っている時代でしたので、そういう面も含めて読み入ることが出来ました。
最近の秋葉原しか知らない人でも、この作品を読んでから実際に行くと視点が多少変わると思いますのでおすすめ。また、電子工作を思い出した人は秋月電子なりラジオデパートを覗くのもいいかもしれません。学研の『科学』が休刊になってしまう時代だからこそ。
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二次創作の壁を超えた『にょろーん ちゅるやさん』という存在
- 2009-09-11 (金)
- マンガ感想(その他)
ちゅるやさんの単行本限定版、『にょろーん ちゅるやさん めがっさ限定版』が発売されました。
既に有名なのでご存じの方も多いでしょうが、『にょろーん ちゅるやさん』はもともとライトノベルやアニメなどで人気の出ている『涼宮ハルヒの憂鬱』に出てくるキャラ、鶴屋さんをディフォルメ化したキャラ達が活躍(?)するコミカルシュールな4コマです。そしてもともと雑誌連載ではなく、作者のえれっと氏が自身のホームページで発表したキャライラスト及び4コマがもとになっています。その後まとめた同人誌なども出ました。そして、そのかわいさから人気に火がつき、あちこちに広まり、2ちゃんねるなどでAAにもなりました(ちなみにそのAAネタもマンガにあったりします)。
そこから本来の『涼宮ハルヒの憂鬱』の版権元である角川書店の雑誌で連載を始めることとなり、YouTube放映のアニメにもなって、この単行本に繋がります。
で、私も購入。
本に加えて限定版のミニ冊子と写真には写っていませんがねんどろいど(箱の中に入ってます。ちなみに箱がスモチなのはなかなか。限定版の本には、蒼樹うめさん等がゲストで1ページ書いている同人誌的な感じ。あと同人誌時代のひぐらしネタも収録してあります。
そして本誌のほうはオールカラーで、雑誌連載Sideと、お蔵出しSide(同人誌などで描かれたもの)が両方収録されています(ほんのちょっとだけ変更箇所有り)。あと、『涼宮ハルヒの憂鬱』原作者谷川流さんといとうのいぢさんのコメントもあり。
しかし、考えてみればこの単行本ってかなりの変わったものですよね。上で説明しましたが、2次創作がもとなのに、その版権元に連載され、そして単行本が出ると。おそらくこのパターンは史上初ではないでしょうか。
今までも、同人誌から雑誌連載になり単行本やアニメ化になった例はあります。最近では相田裕さんの『GUNSLINGER GIRL』、高野真之さんの『BLOOD ALONE』等がありますしね。ちなみにアニメでも『灰羽連盟や『ガドガード』など同人誌での企画がもとになっているものもあります。
あと、ネット上からも一次創作のWebコミックからでは『ヘタリア』、『おたくの娘さん』などが商業作品となっています。
しかし、二次創作から生まれたキャラクターが、このような形で版権元公認で出るというのは、かつてないパターンではないでしょうか。まあ、ちゅるやさんの場合はかなり要素が重なって偶然的なところもあります。例えばえれっとさんのキャラが元からはかなりディフォルメされて別キャラになっていた、キャラが魅力的でネットなどですでに人気が出ていた、角川書店にも一次作品をディフォルメした作品はいくつもあった(『ハルヒちゃん』『犬ガンダム』、古くはロードス島でもあったな)、えれっとさんはもともとラノベイラストなどを描くプロのイラストレータであった、角川書店が二次創作に許容的等々。
これらの条件を満たした結果、このような形になったのかもしれません。しかし、それでも独自の二次創作から始まったものが、このような元の公認系になるというのはけっこう革新的なことであると思うのですよね。だけどその結果、広い範囲で面白さが広がったとするならば、それはよかったのかなと思うのです。
今、ネット上ではpixivなど多数の一次創作キャラのとか、このような二次創作からも独自の切り口による作品が生まれています。今までは法的な問題上趣味の範囲内で止まっていたそのような作品の中から、これから先『にょろーん ちゅるやさん』のように広がりを持ってくる作品は出てくるのでしょうか。
様々な要因が絡みあうので難しいでしょうが、出来れば「黙認」から一歩進んで、創作者と版権元、両方が幸せになる仕組みが出来れば、創作に新しい道が開けるかもしれません。
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