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『まんがタイムラブリー』は何故休刊に至ってしまったのか

 まんがタイムラブリーが休刊してしまいました。 2011年3月号より連載陣を一新する大胆なリニューアルを行ないロゴをはじめ雰囲気を一新、いままでの中綴じ本から平綴じにもなってスタートしてから半年も経たないうちの休刊となってしまいました。

 『まんがタイムラブリー 2001年7月号』

 ■コミックナタリー – まんがタイムラブリー17年の歴史に幕、7月号にて休刊
 ■参考:コミックナタリー – まんがタイムラブリーが大胆リニューアル、表紙はHERO

 本誌を見てみると、最終ページに今号で休刊する旨が書いてあるほかは通常通りとも思える内容で、こういった休刊時に連載陣が急激に話をたたむでもなく、各マンガの最終ページにも「次号をおたのしみに」も「ご愛読ありがとうございました」もなく、本当に急に決まった休刊と思われます。
 発売日まで全くこの情報がなかったので、正直ビックリしました(あえて言えば、まんがタイムジャンボの発売日が4日から12日に変更になったくらい)。と同時に、早すぎたもののこうなる運命だったのかもなあ、とも思います。

 しかしネットを見てみると、この休刊に際して的が外れているようなコメントを見かけます。私も詳しい原因を言えるわけでもありませんが(それを正確に言えるのは、内部の人間しかいないわけで)、明らかに間違っていると思われる部分を正しつつ、何故『まんがタイムLovery』が休刊に至ってしまったのか、考えてみようと思います。

 

4コママンガ誌は15年以上前から多くの種類が発行されている

 とりあえず今すぐ出せた4コマ雑誌をいろいろと

 まず、ネットを見ると、まんがタイム系の雑誌の多さに「増やしすぎたせい」というのを見かけますが、これは違うと思われます。たしかにまんがタイム系列きらら系4誌を除いても『まんがタイムラブリー』のほかに『まんがタイム』『まんがホーム』『 まんがタイムジャンボ』『まんがタイムファミリー 』『まんがタイムスペシャル』 まんがタイムオリジナル』、それに作者別コレクションを加えると本誌系で月に8誌にも出ていることになります。ただ、「増やしすぎ」の指摘は少し的が外れていると思われます。というのは、この体制になっているのはもう1990年辺りから20年くらい続いているので。一番古いのは当然『まんがタイム』で、先日創刊30周年を迎えました。『まんがタイムラブリー』はこの中では比較的新しい方ですが、それでも1993年創刊なので、18年経っており、『まんがタイムきらら』(20003年創刊)よりも10年以上前にあるのです。故に増えている状況はその時代から続いているものであるのです。
 
 ちなみにこのほかにも4コマ誌は他社からく『まんがくらぶ』『まんがくらぶオリジナル』『まんがライフ』『まんがライフオリジナル』『まんがライフMOMO』『まんがタウン』、さらには「本当にあった~」系の実話系誌もあります。ちなみに私は一部は学生時代から見ていましたが(「ナオミだもん」とか高校生の頃に読んでたとか)、空白期間を経て近年またハマり、月に実話系以外(こっちはどっちかというと女性向けなのもあるので)きらら系も含めて買っているのですが、たった三ヶ月で雑誌を積み上げた山が1メートルにもなってどうしたもんだろという状態になっています(しかもこれらの作品、必ず単行本化されるとは限らないし、1巻が出ても2巻がでないものもあるのでなかなか捨てるに捨てられないという)。

 それでも、今まではそれで長年安定していたとしても、ここ数年の世の中の変化、すなわち出版不況が影響を与えているというのはたしかにあると思われます。ただ、増えているのはもともとであり、しかもそれで10年以上回っていたので(それに加えてきらら系も創刊されたし)、この体勢が直接の原因とは考えにくいです。あえて言うなら「増えていたまま読者の減少に追いつけなかった」かと。ちなみに自分は、すでに月刊誌が多数というより、週刊誌の感覚で買ってます。

 

コンビニに置かれている4コマ雑誌の売上的メリット

 ちなみにこれもネットで勘違いが多そうですが、同じ4コマ雑誌であり、アニメ化もされた『けいおん!』などが載っている『まんがタイムきらら』などより、こちらのまんがタイム系のほうが雑誌の売上げが低いかというと、それはないと思われます(『まんがタイムラブリー』は後述の理由によりわかりませんが)。

 私はきらら系のほうも買っているのですが、実はこちらはまんがタイムきらら系、まんがタイムなどに萌え系4コマ誌に比べ入手が難しいのです。というのはこれら、コンビニ置きがあまりないのですね。というかうちの近所だと書店置きまでないところも多い。Amazonが低価格雑誌の取り扱いをやめてしまってからは尚更入手が難しくなり、何故か周辺で唯一きらら系を仕入れてくれているちょっと離れたコンビニに通っている感じです(でも置いてないコンビニでも『けいおん!』の単行本はきっちり仕入れていたけど)。

 実はここがポイント。コンビニは全国で4万件近くあると言われています。

 ■日本のコンビニ店舗数ランキング – 10の方法

 これらの店舗で一冊ずつ売れるだけで、部数が数万単位で違ってくるわけです。さらに萌え系を置いていない一般向けの本屋、それにキオスクなども加えたら差がはっきりとついてしまいます。ちなみに、過去にはコンビニで仕入れをやめるので休刊になった雑誌というのも存在するとのこと。
 まんがタイム系に限らず4コマ系雑誌の多くは印刷部数の公表をしていないので詳細は不明ですが(たとえあっても返本率などもあるので正確なところはわかりませんという前置きをつけておきますが)、おそらくネットではその感想が少数派になってしまう『週刊漫画TIMES』などや(情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明さん等がしっかり読まれて書いてますが)、下手をすると成人向けコーナーに置いてある『COMIC快楽天』や、もっと下手をするとなめくじ長屋奇考録さんで紹介されてるようなどう見てもニッチにしか思えるないようなものでも、コンビニにおいてある以上、萌え系雑誌より発行部数が高い可能性はわりとあるわけです。

 とらのあなとかみたいな専門書店に行くと平積みにしてあるのでそちら中心で買う人はわかりにくいかもしれませんが、まんがタイムなどと比べてネットで目立っている(まあアニメのほう中心ってのあるでしょうが)きらら系は、まんがタイム系と比べて規模は小さいと言えるのです。ネットの観測範囲での出来事と現実的なもので差異が生じていることはよくありますが、それもこのひとつかなと。

 ■参考:図録▽コミック誌発行部数ランキング
 ■参考:社団法人 日本雑誌協会(印刷発行部数公表あり)

 

去年から始まったまんがタイム系各誌のリニューアル

 で、非常に前置きが長くなりましたが、『まんがタイムラブリー』に話を戻します。

 一番最初にも書いてありますが、『まんがタイムラブリー』は3月に大幅なリニューアルを行ないました。実はまんがタイム系列の雑誌はこのほかにもあちこちで昨年秋頃よりリニューアルが行なわれていました。象徴的だったのは、『まんがタイム』で20年以上続いていた、ある意味植田まさし系4コマ誌のイメージを色濃く残している『かつあげ君』『まさし君』などが終了、同じく他でも『天使くん』、『ごめんあそばせ』といったような、長年続いているものが終了し、雑誌間でマンガの移籍が相次いだことです。
 これの理由を推測するに、やはり長年の連載でバラついて特色の薄くなった各誌を見直し、ターゲットを設定し直すということだったのではないかと思われます。それにより、今まで読み続けてきた年齢が上の世代向けの『まんがタイム』『まんがタイムオリジナル』から、やや若者向けの『まんがタイムスペシャル』まで分類した感じなのではと。

 

『まんがタイムラブリー』の失敗は何か

 その中で『まんがタイムラブリー』は何故休刊に追い込まれたのでしょうか。

 『まんがタイムラブリー』は名前通り、もともとは「好きだヨンたーくん」みたいに女性向けの恋愛系が多い4コマとして創刊されました(このあたり、萌え系4コマの系統に繋がるあたりもあると思われますが、その話はまた今度)。しかしリニューアル直前は、ほかの4コマ誌が植田まさし系からのリニューアルで、恋愛系ややわらかなものが増えてきたため、差異がなくなってきます。実質私も『まんがタイムジャンボ』と混同することがありましたし。

 『まんがタイムラブリー』 2001年1・2月合併号

 故に、そこから差異を出すべく大きな差別化を図ったと思われます。それはすさまじく、綴じ方の変更の他、ほとんどの連載作を一から始めるだけではなく(例外は『ココjロ君色サクラ色』)、今まで4コマ誌であまり見かけなかった作家を採用するなど、非常に大胆なものでした。実質新創刊と言っていいと思います。

 ただ、今回は結果的にそれが大裏目に出たと言えるでしょう。まず、4コマファンの中で作家買いがなくなり一からスタートしなければならないこと。さらに、作家は有名な人がいても、それらが4コマ雑誌を読む層とかみあっていなかった可能性が高いことがあります。

 またリニューアル時に必要なターゲットの設定がどこに定められているかわからなかったこともあります。これ、表紙のHEROさんの絵がかわいいのはいいのですが、ロゴデザインなども含めて少女向けに見えるのですよね(おかげでコンビニで買うときちょいと恥ずかしかった)。しかも作者もどっちかといえば女性読者が多いようなマンガ家さんかなと思えますし。ほかの4コマ雑誌にも言えますが、リニューアル直前の『まんがタイムラブリー』は比較的男女中性的な雑誌で男女両方の読者がいるような感じでしたが、ここで男性読者を脱落させてしまったのではないかと。

 とはいえ、女性読者向けだったかというと微妙で、イメージ的には綴じ方もあり、きらら系に近いと思われた感じもあるかもしれません(実際背表紙からだと見分けがつかない)。
 ここで先程話したコンビニの話に戻ります。実はリニューアル前まで『まんがタイムラブリー』は『まんがタイム』の置いてある店でも売っていて、比較的簡単に買えたのですね。しかし、リニューアル後はその直後から売らなくなる店が出始めました。勿論詳細はコンビニの仕入の人に聞かないとわかりませんが、もし、町のコンビニでは購買層が限られる萌え系と判断され、今まで仕入れていたのにそれを切られたという可能性もあるのではないかと思われるのです。

 つまり、ターゲットを設定するはずが、どっちつかずになってしまった可能性が高いのではないかと。

 

善し悪しを判断できる前に終わって?しまった連載

 さて、マンガの内容ですが、正直毎号これのために買う、というものは、唯一移籍の『ココロ君サクラ色』(しかも4コマじゃない)しかありませんでした。

 ■幼なじみ同士達のほんわかとした青春ラブコメ『ココロ君色サクラ色』 – 空気を読まずにマンガを読む

 前述のようにやはり4コマにいままでなかった作家さんの作品がでしたので、判断できなかったのですね。しかも4コマ慣れしてなさそうだなあという作品もあった感じがしますし。
 ただ、それで「つまらない」とは言えないのですよ。というのはこういった4コママンガというのは、続いていると途中でどんどん面白くなることがよくあるので。今人気のある『らいか・デイズ』も、2巻になりらいかの短所が出てきて、人間関係に壁がなくなってきたあたりからかなり展開の広がりが出ておもしろくなってきた感じですし。故に、もう少し続いていればかなり面白くなる作品も出てきたかもしれないのに、5号でそれを判断するのはいささか短すぎたと思われます。

 
 

連載陣の復活を望む(とりわけ『ココロ君色サクラ色』)

 そういうわけで、名前こそ『まんがタイムラブリー』を引き継いではいるものの、リニューアルの失敗というより、新創刊の失敗と捉えた方が、しっくりくるのです。

 さて、今後ですが、まず『ココロ君色サクラ色』の移籍先が気になります(最終号に載っていなかったので、すでに移籍準備をしている可能性もありますが)。どこかの雑誌に、最悪芳文社系で無理なら同じく桑原草太さんの『紅心王子』を連載しているスクエニ系でもいいので連載を続けてほしいです。あと、他の作品も前述の通りまだ伸びる可能性はあると思うので、このまま終わらせるのは惜しいところではあるとは思います。

 
 ともあれ、休刊のショックを受けつつも、これ以上出ないように願い(こうなってくると次はアレか、とかいろいろ心配になってくるので)、読み続けて支えようと思う次第。

 

ココロ君色サクラ色(1) (まんがタイムコミックス)
ココロ君色サクラ色(1) (まんがタイムコミックス) 桑原 草太

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コメント:3

norinori 11-06-15 (水) 16:58

ラブリーのリニューアルは失敗する気配を感じていたので休刊もやむなしという感じですが、芳文社的にはそんなたいした問題じゃないんだろうなあという印象もあります。

芳文社は自社の4コマ誌の大幅なリニューアルをよく行い、それによる作品の打ち切りや移籍を割と容赦なくやる傾向にありあす。それが理由でコミックスが出ていない(でる量まで達していない)作品が結構あります。

基本、たかが四コマ、読み捨てだろ、という読者を意識しているのではないかと思います。ゆえに作者や作品につくきらら系からの読者には奇異に映る。

2004年あたりも大幅リニューアルがあってまんがタイムナチュラルとかポップが休刊になり、その作品の一部はシャッフルされてリニューアルされた各誌に連載されてましたし。まあ、今回もそのひとつでしょう。一部の作品はどこかに移籍すると思われます。

あと、雑誌が一つ休刊になったのでその雑誌コードを使って新しい雑誌を一つ立ち上げるのは間違いないでしょう。最初は隔月刊あつかいかもしれません。
…きらら系が増えたりして?(でないのだったら他社に雑誌コードを売るのかもしれませんが)

で、唯一特殊な扱いなのがきらら系の萌え4コマ雑誌群ですが、これだけは読者層の違いを意識しているのか売り方が違う印象があります。コミックスも高いし。

すいーとポテト 11-06-19 (日) 18:14

公開から一週間が経っても気になる点が修正されないのでコメントします。

1. 『まんがタイム』の「かつあげ君」の連載終了は「昨年(=2010年)秋頃」ではなく、2010年2月(2010年3月号)です。

2. 「まさし君」はもっとずっと前の植田まさし作品です。『まんがタイム』連載の植田まさし作品であれば「おとぼけ課長」ですし、「かつあげ君」と同時期に連載終了した作品であれば「あさかぜ君」です。

3. リニューアル時の想定ターゲットは明確で、スクエニ系作品を好む10代〜20代の女性でしょう。これは連載作家にスクエニ系・一迅社系が多かったことからも明らかです。特にHERO、佐伯イチ、そして中杜さんが推す桑原草太はいずれもスクエニ作家です。HEROと佐伯はガンガンONLINEでの露出がありますし、桑原の「紅心王子」は少女漫画+ガンガン的作品で女性人気も高いです。

4. ターゲットが3.だと仮定すれば、コンビニで取り扱わなくても不自然ではないでしょう(むろん、販路が多いに越したことは言うまでもありませんが)。むしろ、ガンガンやゼロサムが置いてある一般書店や漫画専門書店に置いた方が、ターゲットにリーチしやすいでしょう。

5. ラブリーのリニューアル直前について詳しく書かれており、他の4コマ誌についても詳しそうに見えるのに、2008年末からのラブリーのストーリー志向、そして2009年末からの4コマへの揺り戻しに一言も触れていないのが不思議に思いました。控えめに言っても、ラブリーがこのような変化の中にあったことは、リニューアルの背景として無視できないと考えます。

以上の点から、この記事も不正確で的外れな記事だなあと思います。同時に、中杜さんが4コマ誌を、そして桑原草太作品を読めていたのか、疑問を抱かざるを得ません。

KOW(つ∀`) 11-06-23 (木) 1:14

個人的には、最近の4コマ誌という範囲内で書いた記事だなと思いました。
自称4コマ読みの認識はこんなもんなのかなあと。
まあ、80~90年代の4コマ誌引っ張り出して記事書ける人は
そう多くないですしね。
と小池田マヤがまだ描いていた頃のラブリーを読みつつ思いました。

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