政治マンガ『サンクチュアリ』を今読むと興味深い

こんなニュースがありました。

■衆院選出馬要請に東国原知事「自民総裁候補にするなら」 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(※2012/12/3 リンク切れ確認)

なんかこれについてなんかいろいろ各方面で報道されたりまともに答えている政治家とかおりますが、普通に考えて冗談交えての断りだよねと(まあ政治家は聞かれて「冗談だろ」っていうのは本気だった時に微妙になるか)。まあそれが大々的にニュースになるあたり、ワイドショー的な気がしたりしています。ちなみに「宮崎を首都にするなら」くらい現実離れしていれば、ちゃんとした断りになったのではないかと(こう書いて万が一東国原知事が本気だったら、オイラ政治家目指しちゃうよ)。

さて、これを見て思い出したマンガがありました。それは史村翔&池上遼一のマンガ(劇画と言った方がいいかもしれないけど)『サンクチュアリ』。

サンクチュアリ (1) (小学館文庫)
サンクチュアリ (1) (小学館文庫)

このマンガ、意外と知名度があるので知っている人もいるかもしれませんが、政治マンガです。ただし1990年最初の作品であるために、時代背景もその当時のもの(厳密にはそれよりちょっと前のもの)、である一党独裁の55年体制のものになっています。

基本的なあらすじは、子供の頃ポル・ポト政権下のカンボジアでの動乱に巻き込まれた命からがら帰国した北条と浅見が、この日本を変えるために表(政治)と裏(ヤクザ)として動いてゆくというものです。
ちなみに有名なのは、北条の兄貴分であるヤクザ、渡海さんでしょう。たしかに粗暴なヤクザなのですが、姑息な利益などで動く周りに反して筋金入りなので、当時の読者人気が高かった様に思います。

さてこの作品、政治サイドの浅見側では、北条の背後からの支援を受けながら秘書から国会議員へとなり、そこから日本の政治を変えようとして旧来の政治家と争ってゆくのですが、その過程でさまざまな謀略などにも巻き込まれます。
そして、国会議員になった浅見が、同じように今の日本に不満を持つ若手、仙石、吉岡とます組みます。さて当時は(も)派閥政治、一党独裁の中でも派閥毎に争いが繰り広げられているのですが、その中で幹事長の伊佐岡(この人がラスボス的な立場)に実権を握られていた首相の望月が、この3人を呼び出して味方につけようとするシーンがあります。

さて、ここでさきほどの東国原知事のニュースで思い出したシーンがあるのです。
まず、ひとりめの仙石は「新しい政治は創るがてめえらは要らねェ!」と出て行きます。
その次の吉岡のコメント。

史村翔&池上遼一『サンクチュアリ』4巻P172

史村翔&池上遼一『サンクチュアリ』4巻P172

「支度金10億」「プラス望月派No.2」という要求。これでも「ちょっと安売りしてしもうたかなあ」と言います。つまり受けるつもりが無いときに無茶な要求をするというものですね。例の東国原知事もこのパターンだと思うのですが。

さて、このまま『サンクチュアリ』の話を進めましょう。この後、浅見も当然断るのですが、その時横にいた団塊の世代(当時は40歳代)筆頭の政治家、狩谷に対して浅見が放った言葉

「あいつらを見て昔の自分を思い出しませんか?」
「あんたは15年後に望月派の番頭になるのが目的で代議士になったのですか?」
そして……

史村翔&池上遼一『サンクチュアリ』4巻P174

史村翔&池上遼一『サンクチュアリ』4巻P174

最後に「期待していた分だけ怒りも失望も大きいんだ」と言って浅見は去ります。

ちなみにその後、この狩谷が自分と浅見の差を見せつけられ合流したり、伊佐岡が敵ではあるけど政治家として信念を持っていたり、また北条の裏世界サイドでいろいろ起こったりと、なかなかおおもしろいマンガです。

しかし、15年が経ち、いろいろな面で時代の変化を感じるところが多いです。55年体制は崩れてますし、途中アメリカの政治家が車会社のオーナーと車を売りつける交渉に来るところがあるのですが、その車会社も現実ではGMのように破綻するところが出ています。
人間においても、リアルではその当時若手だった年代が中年層に、そして団塊世代だった年代が政治の中核になろうとしています。
こんな感じで、時代の変化を感じながら昔のマンガを読むというのもなかなか面白いものだと思います。

……でもまさか、15年のうちに総理の椅子まで軽くなって、本当に最初の東国原知事のコメントが検討とかされないだろうな……

★追記(2014/12/10)

読み返して。ああ、この頃はあの例の人に対して多少贔屓目に見ていたのだなあと感じた。今と照らしあわせて。

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