『あずまんが大王』という4コママンガの歴史における大きな存在

新創刊されたゲッサン。

ゲッサン 2009年 06月号 [雑誌]

これにはかなり力が入っているらしく、少年サンデー系の有名作家、それにあのながいけん氏までがマンガを書いています。とりあえずしばらく様子を見てみたいかなと。

さて、この中で注目すべきひとつは、あずまきよひこ氏の代表作である『あずまんが大王』の復活短期連載『あずまんが大王 補習編』。元は10年前に電撃大王で連載され、そしてアニメ化もされてヒットした作品ですが、今回10周年企画ということでいろいろなものの販売にあわせて短期集中連載となったようです。とりあえずは6月から3ヶ月連続で出るらしい新装版ですかね。

あずまんが大王1年生 (少年サンデーコミックススペシャル)
あずまんが大王1年生 (少年サンデーコミックススペシャル)

さて、すでに私が休んでいる間にたぶんゲッサンやこの『あずまんが大王 補習編』の話題は出ているとは思いますが、おそらく絵柄が変わっているというのは一番言われているのではないかと。これは見た感じ『よつばと!』の絵柄なんですよね。なんというか等身がきちんとしているというか。それに対してあずまんがはもう少し丸いというかディフォルメがかかっていた様な感じ。ですので、昔のあずまんがを知っている人にはやや違和感があったかもしれません。

とはいっても経年で絵柄が変わったというより、『よつばと!』の最初のほうからこんな感じじゃなかったかな(よつば以外は)。で、どうやらそれはあずま氏も意図的にやっているようです。

■参考:あずまきよひこ.com: ENTRY [あずまんが大王 補習編](リンク切れ2014/4/9)

内容は、基本あのあずまんがのなんともいえない雰囲気はそのまま生きています。例えると、妙な空間系というか「あずまんがらしい」という形容が一番あっていそうなもの。この独特の雰囲気がまた読めていい感じです。

さて、この『あずまんが大王』ですが、今思うと単純に人気マンガというだけではなく、4コママンガ、とりわけ最近では『ひだまりスケッチ』や『けいおん!』なども含まれる「萌え系4コマ」といわれるジャンルの成立において、非常に大きな存在だったのではないかと思うのです。

昔(1990年代前半より前)は4コマ雑誌と言えば『おとぼけ課長』のようなサラリーマン向けや主婦向けのもの、つまりは「ファミリー4コマ」が大半でした。しかしここで『あずまんが大王』がヒットします。これにより、今まで若年層やマニア向けとは思われてこなかった4コマ漫画が受け入れられたという前例が出来、そしてこういった4コマがマニア系雑誌に増えてきただけではなく、ファミリー4コマの作家陣にも萌え系らしき絵を描く人が出てきて(同人出身者など)、今までの系統と新しい系統が合わさり、『萌え系4コマ』が生まれはじめます。そしてそしてそれが独立し、『まんがタイムきらら』などの創刊につながります。

■参考:4コマ漫画 – Wikipedia

つまりは、『あずまんが大王』の存在が、4コママンガという手法における潜在的なユーザー(萌え系)を掘り起こした、とも言えるわけですね。
それと同時に、『あずまんが大王』は、それまでの4コマになかった表現方法をいろいろ確率させました。最も大きなものは、起承転結を詰めていた4コマに「間」を持ち込んだことだと思っています。つまり3コマ目で時が停止してしまう様な感じのとかですね。地味ですが、これが大きく4コママンガでこういうことをしてもいいという、大きな転機になったのではないかと。

ただ、この前には1990年代前半に『伝染るんです。』という大きな存在もありそれも「不条理4コマ」として4コマの新境地を切り開いたり(まあガロ系とかそっちの流れもありますが)、『×(ペケ)』などその表現において語ることが多い作品もあるのですが、その話は長くなるのでまたそのうち。

ともあれ、そう言った意味で『あずまんが大王』というのは、今の4コマに与えている影響はいろいろな面であると思うのですよね。ですので、10年前に読んでいなかった方は、この機会に読んでみてはいかがでしょうか。

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コメント

  1. 憲之助 より:

    >>それまでの4コマになかった表現方法
    「間」もあるんだけど、それよりもっと大きかったのは、
    「4コマ数本を束ねてストーリーを作り出す」
    ってパターンを確立・成功させた点なんじゃないかと思います。
    もちろん「あずまんが大王」以前にも先駆者はいたんじゃないかとは思います
    (不勉強なのでパッと揚げられませんが)。
    ですが、あずま氏が起承転結を保ちつつストーリーを展開させるこの手法を成功
    させたことで、それまでの4コマにおけるキャラクター造形を、さらに一歩踏み込
    んだ形とすることで、「4コマでもキャラ萌えを作り出せる」という下地を築いた、
    というのが最も大きな功績ではないかと自分では思っています。

  2. FUKY より:

    あずまんが以前にも似た漫画は沢山ありますよ
    ただ一般受けがしなかった

    4コマ漫画と言えば 大衆漫画やギャグ漫画と
    起承転結の結末が強く 筆者の訴えや笑いのオチがあるメッセージ性の高い漫画であった
    だが、あずまんが等の漫画はそこに敢えて少女漫画の特徴的な
    日常の切り取り漫画特有の「山無しオチ無し意味無し」を盛り込み
    相反する要素を取り込んだ4コマ漫画に仕立てている
    いわゆるマイノリティ漫画

    だが、あずまんが大王はそこに萌え要素やファンタジー要素やを入れ
    4コマ+少女漫画+“α” でマイノリティ漫画から人気漫画にのしあがった作品だと思う

    既にある売れないガラクタからちょっと工夫をしてヒット商品にした
    アイデア漫画と言える

    あど、確率てなく確立では?

  3. enaly より:

    秋月りすとか小池田マヤって売れてないガラクタ作成者だったとは思えないし、一般受けもしてないとは思えないな。
    10年前(今から20年前)くらいから始まって、すでに定着していた4コマの新しいパターンを、オタク業界がようやく掘り起こしただけだと思うけど。
    そのきっかけだってあきら先生あたりだった覚えがあるんだが。

    いや、俺もあずまんが大王は好きなんだけど、なんでみんなそんなに持ち上げるのかはわからないなあ。

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