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週刊少年マガジンの巻末マンガ『もう、しませんから。』の存在について考えてみる

 以前『マンガ雑誌における「巻末マンガ」について考えてみる 』というエントリーで様々な巻末マンガに触れましたが、その中で週刊少年マガジンの巻末をにある西本英雄氏の『もう、しませんから。』についても触れました。

 もう、しませんから。 1 (1) (少年マガジンコミックス)

 これはレポート式マンガなのですが、以前からこれについては考えていることがいろいろあったので、ちょっと書いてみようと思います。

 さて、週刊少年マガジンの巻末を5年近く飾っている『もう、しませんから。』ですが、なにげに読んでしまうマンガですよね(『さよなら絶望先生』でも、週マガで読んでいるマンガを答えるところで、この名前が挙がっていました)。ここ数年の週マガの巻末として定着したと言ってもよいと思われます。
 しかし、連載が始まった当初、ちょっとした違和感を覚えていました。というのは西本氏、作中ではかなり立場の弱いギャグキャラになっている感じですが、実際は最初の週刊少年マガジンの巻末マンガ『ポチのへなちょこ大作戦』が1991年連載開始であり、それから『ポチのへなちょこ大作戦Z』を経て20年近く週刊少年マガジンの巻末を描いているので、十分ベテラン組であります(赤松健氏の週マガデビュー時には既に連載していた)。しかし、レポマンガというのは、たいてい今までの場合、新人がやるような印象があったのですよね。それをベテランの西本氏がやるというのはなんでだろ? というのはずっと思っていました。
 ただ、結果としてこのような内容のレポマンガ、とりわけマンガ家を度々登場させるマンガは、週刊少年マガジンにおいては西本氏しか出来なかったのではないか、とも思えるのです。

 前述のように、西本氏は週刊少年マガジンではベテランクラスです。4コマギャグマンガはページ数が少ないため、雑誌の中でそれほど目立ちませんが、20年近く週マガで連載を持ち続けているというのは驚くに値するでしょう。まあ週マガは『はじめの一歩』の森川ジョージ氏などベテラン陣が多いので目立たないというのもありますが。(余談ですが、90年代はマガジンでも4コマギャグはかなり強化されていて、密度が高いものが多かったですね。『激烈バカ』『Let’sぬぷぬぷっ』等々)。
 で、マンガを見ての通り、森川氏にもそれなりに遠慮無く出来る人ですが、おそらくマガジンのマンガ家の中でこれが出来る人は、かなり限られるのではないかと。さらにギャグマンガ家なら。
 いや、これは上のベテラン先生方が偉そうにしているというのではなく、やはり目上の人を相手にすると、自然と描き手はへりくだってしまうものだと思うのですよね。つまりはこの週刊少年マガジンで、それなりに立場があり、且つギャグを描ける人として、この手のレポマンガをするのは西本氏しかいなかったのではないかと。

 思うに、この手の「マンガ家がマンガ家についてマンガを描く」という場合は、3つのパターンがあると思うのですね。ひとつめは自分を中心にその周辺を描くこと。つまり『まんが道』のような自伝タイプですね。これは自分と親しい人のことですから、けっこう自由に描いている感じがします。ただ、自分より上の人のことについては、すごく立派な人というように描いていて、お笑いキャラにはあまりなりません。例えばまんが道におけるトキワ荘の人達はかなり笑えるキャラになっていることがありますが、手塚治虫先生については立派な人で通されています。
 あと、先日紹介した『実録あだち充物語』も、ギャグマンガ家であり、且つ遠慮無く実弟のことを描けるあだち勉氏だからこそ描けたものかもしれません。

 ■参考:巨匠・あだち充の兄、あだち勉という破天荒な人物の存在 – 空気を読まずにマンガを読む

 ふたつめのパターンは新人などが描くパターン。つまり新人がレポマンガなどでマンガ家が登場する場合。思いつくのはアニメ化のアフレコ時の実況とかですね。ただ、これは自分を徹底的に低くして、他のマンガ家や声優は高くするパターンが使われることが多いと思われます(一部それを破る人もいるけど)。

 そして3つめがこのようにある程度の立場のある人が描くパターン。もしくは立場を気にしない作風の人が描くパターンですね。で、立場がある人のマンガというのは、前述のように『もう、しませんから。』ではないかと。
 で、気にしない作風の人というのは、現代洋子さんの『おごってジャンケン隊』かなと。あれは現代洋子氏が遠慮無く突っ込める性格だったからこそうまくいったのかなと思います。あと、レポマンガという明確なものはないけど、エッセイで西原理恵子氏がけっこう他のマンガ家、作家に触れて面白さを出すことがありますね(ちなみに現代氏と台原氏は育ててくれた小学館の担当の人が同じ人だということ)。

 で、それぞれのパターンで、またそれぞれの描き手によって一長一短あるでしょうが、やはり自分だけでなくて相手も崩すことの出来るほうが、この手のマンガ家に触れるレポマンガでは面白いと思うのですよね。実際、ここ数年の間にジャンプやサンデーでもレポマンガらしきものはやっていますが、それが継続的に続いたものはありません。かといって、この2誌でそこまでやらせられる人はいないでしょうし。
 故にこのルポマンガをやるにあたっては西本氏しかいなかったのではないかと。まあ、マガジンの場合は西本氏が描くのが決まっていて、そこで一番合うのがレポマンガだったという、企画勝ちという点も大きいでしょうが。

 しかし『もう、しませんから。』は終わる気配がありませんから、西本氏、なんだかこのままだと30年間巻末で書き続ける可能性も出てきたのかもしれないなんて思ったりします。

 もう、しませんから。 8 (8) (少年マガジンコミックス)

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