山浦章『オタクの用心棒』と『少年キャプテン』について

先日、マンガ家の山浦章さんが亡くなられたというニュースが流れました。

「オタクの用心棒」などで知られる山浦章が、2月中旬に心不全で逝去していたことが関係者への取材でわかった。享年48歳。葬儀は遺族や近親者のみで執り行われた。

記事にもあるように、代表作は少年キャプテンの『オタクの用心棒』やアフタヌーンの『やす子の太陽』。当時、かなり濃い絵柄とそのネタでインパクトがあったマンガ家でした。R.I.P.。

今回、家にあったはずとそのマンガを探してみたのですが、その際、同時期の少年キャプテンに連載されていたマンガの単行本も一緒に出てきて、当時のキャプテンのことを思い出しました。

ですので、今日は名作『オタクの用心棒』のことを中心として、当時の少年キャプテンのことについて書いてゆこうと思います。

オタクの用心棒(山浦章)

名作の多かったマイナー少年誌『少年キャプテン』

少年キャプテンは1985年から1997年まで存在した月間の少年マンガ雑誌。ただ、作家を成年向けなどからも広く集め、主流である少年ジャンプマガジンサンデーなどとは違う個性を持っていました。

なんとなくSF色が強く、『銀河英雄伝説』(田中芳樹・道原かつみ)や『宇宙家族カールビンソン』(あさりよしとお)『強殖装甲ガイバー』(高屋良樹)、『トライガン』(内藤泰弘)があり、さらに『逆境ナイン』(島本和彦)や『アルプス伝説』(田丸浩史)、『頑丈人間スパルタカス』(安永航一郎)、『みすて・ないでデイジー』(永野のりこ)といった個性の強い作品もあり、マニア的な人気がありました。ちなみにスパルタカスで、オウム事件より前に「ホトトギス神秘教」というネタで富士山麓でDOS/Vパソコン作って踊っているというネタはいろんな意味で奇跡的なヤツだったなあ……。

『オタクの用心棒』

その中で連載されていたギャグマンガが『オタクの用心棒』と山浦章氏の『死ぬのは奴らだ!』というギャグマンガ。

オタクの用心棒は舞台は時代劇「風」なのですが、登場人物がオタク化しており、実在のアニメ作品のパロディをふまえてオタクにありがちな行動などを交えたギャグを誇張してかます(でも用心棒なのですぐに斬る)。出てくるアニメ作品や「VHD」がネタにされたりしているところに時代を感じます。

山浦章『ご存知!!オタクの用心棒』(フォックス出版)P19

山浦章『ご存知!!オタクの用心棒』(フォックス出版)P19

ほかにもNHKの受信料から逃れるためにあらゆる手段(追手を振り切る、巨大ロボ建設、爆破など)を行うギャグなど、かなり過激な方向性のものですが、それが強いインパクトがありました。

山浦章『ご存知!!オタクの用心棒』(フォックス出版)P29

山浦章『ご存知!!オタクの用心棒』(フォックス出版)P29

これが連載されていた1990年初頭というのはまだインターネットもない時代で、且つオタクという言葉も出始め(時代からして今よりも差別的ニュアンスが強かった時代)でした。今ならば『げんしけん』などオタクの内輪的なネタを描いた作品はとても数多く存在しますが、当時は非常に少なく、そのオタクネタの先駆けの作品となった作品でもあったと思います。実際、この作品のキャラクターを入れ替えたパロディは、その後の同人や『ファンロード』の投稿コーナーで何度も見た記憶があります。あと、少年キャプテンのほかにも、なんかのコラムのイラストカットでこのオタクの用心棒キャラが使われていたような記憶があります(たしか映画紹介のコラムだったけど、詳細は忘れてしまった)。

同マンガは今では入手困難ですが、同じ時期にアフタヌーンで連載されていた『やす子の太陽』はKindleで販売しています。
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少年キャプテン休刊とその後

しかし1997年、間ぶれもなく突然の休刊。多くの作品が終了となりましたが、惜しまれているものも多く、他誌で掲載が再開されるものも数多くありました。移動先は似た立ち位置の『アフタヌーン』やこのあたりで創刊された『少年エース』に移動。その中でも『トライガンマキシマム』と名を変えて『ヤングキングアワーズ』に移籍した『トライガン』はブレイクし、同誌の看板にもなりアニメ化もされました。
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未完作品『Hello!あんくる』(みず谷なおき)

享年キャプテンの急な休刊で移籍出来なかった作品も、増刊が出たり(エルハザードのコミカライズなど)、単行本で加筆されたりで最後まで続いたものもあります。ただ、終了出来なかった作品で思い出深い物があります。そして今回『オタクの用心棒』と一緒に出てきました。

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『Hello! あんくる』はみず谷なおきさんの作品でしたが、連載途中で中断。その後雑誌がなくなり、最終話を含めた単行本化の作業中に38歳の若さで急逝。未完となってしまいました。この方が以前に少年サンデーで連載していた『人類ネコ科』などのギャグラブコメは当時から好きで、今見てもそのテンポや絵柄が古くなく、このジャンルの先駆けでしたが、その早逝に驚きました。

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あと最終回分だけだったようなので、未完が惜しまれます。

だけど、この1990年代は本当に珍しく、大御所ではないマンガ家の訃報の多くは例外的な早逝という感じでしたが、マンガ業界も時代が進み、今回の山浦章さんみたいに自分が読んでいた作品の作者の訃報を目にしてしまう機会も増えてきて切ないものです。

出版の状況などもあり大変なのは相変わらずな業界でしょうが、マンガ家の方々には健康には気をつけて頂きたいです(あとゲーム業界も心配ですが)。

今でも読める少年キャプテン作品

ちなみに今日紹介したほかにも、少年キャプテンで連載していた作品は現役の本で売ってたり、Kindleで販売していますし、マンガ図書館Zでもありますので、探してみてあのキャプテンの感じを味わってみるのもまたよいかと思います。

余談:マンガ図書館Zは作者がアップロードしたものとそうでないものの見分けが簡単につくようにしてもらいたいなあと思いました。作者自らじゃないのは紹介しづらいので(たぶん「高画質」ってついてのるのがそうだと思うのだけど)。

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