同人誌の感想をブログに書くのはいまだに難しく思う話

夏のコミケも終わりました。
行かれた方では、お気に入りの同人誌を手に入れられた方も多いことでしょう。

しかしながら、ネットで、とりわけブログでそれら同人誌の感想というものは、商業誌などに比べて見る機会は圧倒的に少ないです。もちろんないわけではないく、書いてあるブログはもちろんありますし、Twitterではそれらの感想を挙げている人もけっこういます。さらにそれを書いた人本人が拾って喜ばれているのもタイムラインで見かけます。
ただ、どうしても商業漫画誌に比べるとそれは少数になっているのですよね。もちろん発行部数に差があるというのが大きいでしょう(最近はものによってはかなり近くなっているものもありますが)。

ただ、このようなマンガ感想サイトをやっている人間として、昔から「同人の感想をブログに書く」というのは難しいというか、いろいろ考えるところがあるのです。それは、同じマンガ(その他作品)であっても、商業流通しているものと、同人誌の「文化」や「それに伴う問題」が全然違うので。

「必ずしも作者が広い公開を望んでいるとは限らない」という心理

第一の理由としては、「作者が公開を望んでいない」という場合があります。「創作物なら、それに対しての批評は受けるべきだ」と思われる人はいて、それはもっともだと思います。しかしそこではなくて、同人の場合、その歩んできた歴史より特殊な事情があります。

「二次創作」という性質上の警戒意識

同人誌では「二次創作」、つまり他の著作物の二次利を伴う場合が多くあります。近年同人文化として認められてきて、著作権者が公に、もしくは暗黙の了解をしている場合もあります。しかし、今でも全部が必ずしもOKとなっているわけではなく、グレーゾーンの中にあるというものも多いです。実際に今でもそうなのかはわかりませんが、広く知れ渡る、とりわけ権利元に知れるということにかなり敏感なジャンルというのはあるのですね。権利元が見て見ぬふりをしているところでも、抗議があると立場上動かなくちゃいけないようになるところとかもあるので。

「身内バレ」を恐れる意識

しかしジャンルではなくとも、オリジナルやある程度了解されているジャンルでもでそれを気にする人はいます。それは個々の事情により、自分が同人をやっているというのを知られるのがあまり好ましくないという環境の人は存在するので(これも昔よりはだいぶいなくなったとは思いますが)。

「商業誌」との性質や文化の違い

つまり、同人ではそういうように「必ずしも紹介されたくはない」という人が存在するわけです。
これが商業誌であれば、「商業」というものが前提としてあるわけで、一般的には広く知られて売れればそれだけいい、ということになります(もちろん作者の心情や状況による例外もありますが。無断でとか未払いなんて場合は論外ですし)。しかし、同人の場合はそれを最大限尊重しなくちゃいけない、という意識が自分にもあるのですよね。これは経済的な広がりを見せても、「同人誌は趣味」という意識が大きいのかもしれません。

在庫の関係

あともうひとつ、同人というものは自費出版で、その名の通り制作も印刷発行もそして在庫管理も自費で行います。しかしここで勧めて欲しい人が出てきたとしても、在庫があるかどうかわかりませんし、そして再版にも手間やお金、そして在庫のリスクがあります。そこでバランスを崩して摩擦を生じさせないか(たとえば勧めたのに在庫切れで再版の予定もないのに、欲しい人が殺到したらその対応でリスクを背負うことになるなど)という心配もあります。

作者がマイナスを被るかもしれないという意識からの抵抗

つまり自分の場合は、このようにブログで触れたことによる作者のデメリットがあった時のことを心配して、おもしろいものがあってもどうも書きづらいというのがあります。
作品の面白い、おもしろくないという文章なら、「それがちゃんと筋が通っているものなら」通すのですが(創作というのはそれもふまえるものなので。もちろんその文章自体も公表するなら第三者の評価に晒されることになりますが)、それ以外の問題が絡んでくると、どうも躊躇があるのですよね。なんというか舞台に立つ以前の問題的。

ただ、この「ネットで同人の感想が少ない」の論議は私の知る限りかなり昔から繰り返されている気がします。たぶんネット黎明期の2000年前後にも見たような。その途中で商業誌のようにアフィリエイトがないからとかも言われましたが、やはり理由はその文化によるところが大きいのでしょう。感想を書く大半の人は、何も作者にケンカ売ったり嫌われたくてやってるわけじゃないでしょうし(そうじゃない場合もありますが)。

ちなみにこれを書いている途中、ネットでは「コミケの戦利品(購入したもの)を晒すのはマナー違反か」というちょっとした論争がありました。これもケースバイケースですし、一律に晒し自体を全体のマナー違反とするのはどうかとも思いますが、全員が全員公開されてプラスとも限らない、という意識は頭に入れておいてもよいでしょう。

感想自体は歓迎されると思う

しかし公表を前提とせず(たとえばリプライなどで周りが副次的に見てしまう場合は例外として)、感想を作者に伝えること自体は簡単です。昔からある手紙に加えて、いまやメールやTwitterなどもあるわけで。そこで他者に知られないように感想を送るのは出来ますし、むしろこれは全員が絶対、とは限りませんが歓迎する人が多いと思います。
あと自分は作り手と読み手の両方やってるのですが、書き手として反応を欲しいという心理と同時に、読み手として感想を出すところになると、気恥ずかしさや作者が嫌がらないかという抵抗心理があるのですよね。
それと払うためにも感想が欲しい作者は定型文的にでもいいので、後書きや奥付に「○○での感想歓迎です」など書いておけば、出したい人の心理的抵抗が薄まるのではないかと。これはおそらく商業やどの分野でも言えることですが。あ、当然ですが最低限礼儀はわきまえる感じで。

ブログなど他者に読まれるものはどうか

しかしここで問題になるのは、ブログなど他者へその本の情報が見られる場合のものです。先に書いてきたケースのように、知られては困るケースもありますが、逆にもっと広めて欲しい、そして読んで欲しいと思っている人もいるでしょう。それを作者の望む方向にしてうまくする方法はないのか、というところですね。ちなみに自分は商業誌についてもその「これについて書いていいのかな」意識が全くないというわけではなく、それなりに状況とか見たりしてます)。

ともあれ人により、また作品により違うでしょうし、一概には言えません。なのでやはりここは先に書いたように、後書きや奥付に「○○での感想歓迎です」という明示を行うのが一番近いのかもしれません。それがうまく働いて、読んで面白いと思った人が勧められてより読まれ、それで作者にいろんな面で益があるとなれば、好循環なのですけど。

ただ、これにおいては現在のネットを見るに悪質な読み手、つまり批評、それに感想ですらなく、ただ叩くために書くようなケース、それ自体を鵜呑みにしないで考えるリテラシーなどが多くの人に必要なのかもしれませんが、などとAmazonで発売前の作品の評価を見て思う次第。たとえ全体のうちの1%でも、作者が悪印象を持つことに変わりないし、それを信じてしまう人もいるかもしれないので。それでも事実で的確ならまだしも、全く見当違いだったらもう、という感じでしょう。

■参考

気になったものがひとつ。 『ヨイコノミライ!』のワンシーンですね。(例のシーンは4巻)   このマンガの登場人…

あ、ついでに言っておきますが、無断まるまるアップロードとかどんなに作品が好きで勧めたいとかでも、ほぼ100%作者にとって迷惑以外の何者でもないですから。

時事的な関連ニュースも付け加えておきますか。

クリエイティブ業務に関わる皆さまへ有料写真、インターネット上の無断使用で著作権侵害が認められ勝訴|プレスリリース配信サービス【@Press:アットプレス】

有料写真が無断使用されたアマナイメージズ勝訴 クリエイター側の損害賠償のハードル下げる画期的判決 – ねとらぼ

作者も読者もプラスになる形は今後導き出せるか

まあ色々思うところ書いて来ましたが、結局のところまだ考え中です。

一例としてオリジナルオンリー同人誌即売会のコミティアにおける「ティアズマガジン」のように、限定した人(ここではコミティア参加者)がその感想を読め、それが多くの人に広まるというのもひとつのいい形なのかもしれません。

とりあえずおもしろいと思ったものは、作者の人に直接メールなりTwitterなりダイレクトで感想を述べるのがベストで、そのあとに何らかの形で作者の意思がとれならブログとか公開でのオススメなのかなあと。
今後、同人も色々変化があるでしょうが、こういった面も大半の人が納得するようなうまい方法を模索してゆくべきなのかなと思います。
とりあえず自分もこんなブログ書いてたりしますが、基本シャイなので(どのくらいかというと、Twitterでこっちからのリプライも滅多に飛ばせないくらい)、作り手の人は「○○での感想大歓迎」とかどっかに書くなりしてもらえれば、心理的障壁は下がると思います。

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